283 :本当にあった怖い名無し:2009/03/16(月) 17:45:13 ID:2Hg2xj9t0
高橋葉介の夢幻紳士シリーズのうちの一つ。タイトルはネタバレなので後述。
主人公の夢幻は、幻術などの不思議な能力を持つ素性不明の男性。
夢幻のもとに、ある青年が訪ねてきた。
青年は結婚式を間近に控えていたのだが、妻となるはずだった女性が事故で重体を負ってしまったという。
医者も匙を投げ、意識不明の女性は後はもう死に行くだけの状態だった。
女性は幼いころから貧乏で、暇なく働く辛い日々を送ってきていた。
頼れる者もなく、時には人に騙されたこともあったが、
それでもいつも前向きで心を曲げない、そんな女性の姿に青年は惹かれたという。
結婚して、これからやっと楽にさせてあげられるところだったのにと青年は泣いた。
青年の望みは、事故さえなければ女性が得られるはずだった幸せな未来を、
幻術によって見せてあげてほしいというものだった。
夢幻は了解し、眠りつづける女性に幸せな幻を見せた。
その幻の中で、女性は無事に青年と結婚し、子供をもうけた。
子供は男の子で、顔は青年に似てあまり美形ではなかったが、
勤勉で賢く、異国で事業を展開し、異国の人と結ばれ子をつくった。
老いた女性は、同じように老いた夫とのんびりと暮らしながら、
お互いに老いたと笑い合い、一緒にすごした月日を語り合う。
二人で海辺を見ては、もうじき孫を見せに帰ってくる息子のことを思う。
来るはずのない幸せな未来を見て、眠りながら女性は微笑んだ。
だが、話はそこで終わらなかった。女性は奇跡的に生還してしまった。
女性は幻覚を現実だと信じきり、見かけは若いままなのに、まるで老人のようにふるまった。
生死の境で見た幻は強烈で、夢幻にもどうしようもなかった。
「彼女が幻の中で生きていくしかないのならば、自分も同じ幻の中で生きたい」
女性のことを嘆いてそういう青年に、夢幻は同じ幻をかけた。
そうして、若い二人は老人のように腰を曲げ、存在しない息子の帰還を待ちわび、毎日海辺を歩くようになった。
タイトルは『老夫婦』。
286 :本当にあった怖い名無し:2009/03/16(月) 18:00:38 ID:UuH4dcXt0
>>283
うちの下に住んでる老夫婦思い出した。
旦那は脳梗塞かなんかで麻痺があるらしいけど、いつも二人で散歩してる姿を見かける。
奥さんのほうもいつもニコニコしてて、挨拶したら笑顔で返してくれる。
ただ、奥さんはかなり前からボケている。
話の内容はいつも息子の話。
上の息子は優秀でパソコンの会社にはいり、今は海外へいっている。
下の息子は広島で大学に通っている。
実際には、上の息子は確かに一部上場のPCの会社に勤めたものの、入社翌年に事故で死亡。
下の息子は広島の大学にいったが数ヶ月で退学。
実家に戻ってそのままニートになり、現在40歳近い。
いつまでも二人の優秀な息子の話を聞いて幸せそうな夫婦だと信じてただけに、
ボケているという話を聞いたときはショックだった。
ちなみに、息子は奥さんのなかでは『いないもの』となっているので、作る食事は二人分。
息子の食事は旦那さんが作っているらしい。
つーか、働けよ下の息子。
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