後味の悪い話 『反省がない』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『反省がない』

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875 :本当にあった怖い名無し 1/2:2005/11/18(金) 00:09:41 ID:U0JUNqxg0

新潮の実録犯罪もので読んだ話。

今手元に本がないから、数値はうろ覚え。

今から5,6年前の話。当時17歳の少年が双子の兄を殺害した。

少年は『反省がない』とされ、かなり重い刑期を言い渡された。

事件のあらましはこうである。

少年(以下「弟」)と殺害された兄は、双子でありながらも対照的な性格だった。

内向的で大人しい兄と、明るく社交的な弟。

それでも二人はとても仲が良かったという。

では、なぜ殺したのか。

中学卒業後、兄は趣味を生かし、コンピュータ系の専門学校へ進んだ。

弟は自衛隊生徒(自衛隊に入隊しながら高卒資格が得られる制度。給与ももらえる)として家を離れた。

この選択は、母子家庭の苦しい家計を助けるためでもあった。

こうして、双子は別々に暮らすようになる。

新しい環境下でも、弟はうまくやっていたようだ。

仲間にも慕われ、成績もトップクラスだったから、士官候補生として期待されるほどだったという。

しかし、兄の方は鬱状態になり、「死にたい」と漏らすようになっていた。

その度に、弟は電話や手紙で励ましていたようだ。

が、遂に兄は首をくくってしまう。

幸い発見が早く、命を取り留めたものの、脳に障害が残り、植物状態になってしまった。回復の見込みもなかった。

このことに弟はかなりな責任を感じ、落ち込んでいたという。

やがて、一家は兄を引き取り、自宅で介護する選択をした。

876 :本当にあった怖い名無し 2/2:2005/11/18(金) 00:10:16 ID:U0JUNqxg0

弟は周囲が止めるのも聞かず、学校を辞めて実家に戻った。

母と二人、交代で兄を看護し、働きにでるという生活を始める。

いっさいの援助を絶ち、家族は閉じこもっていったという。

生きながらにして骸となった、自分と同じ顔をした兄。

その介護に明け暮れる中、弟はある言葉に追いつめられていた。

『死にきれず、障害が残るようなことになったら、ひと思いに殺してくれ』

自殺を仄めかす度に兄が言っていたことだ。

そのときは取り合わなかったが、今は重くのし掛かってくる。

幾たびも打ち消し、迷った後、弟は決行する。

兄を絞め殺し、自首した。

情状酌量が認められそうなケースだが、それはいっさい認められなかった。

理由は『反省がない』から。

裁判官は以下のようなことを問題視した。

1.明確な殺意があった。

2.弟は兄の死を悲しいとは認めるが、殺害を悔いてはいない。一貫して反省の言葉は拒否している。

3.「障害がある状態で生きるのは可哀想」という考えは、他の障害を持って生きる人々への侮辱である。

結果、少年には重い刑罰が下された。

苛烈な暴行を「死ぬとは思わなかった」と評し、口先だけの謝罪を述べる類の少年達よりも重い罪に処せられたのだ。

裁判官の思想がかなり反映されたようである。(特に3番の理由)

しかし、少年審判ゆえに、裁判官の独りよがりな決定を止める手だてはないそうだ。

もし違う裁判官だったら、懲罰云々だけでなく弟の心も解せたのではないか。っていうかそうしろ。

こーせーとか声高に叫ぶなら尚更だ。

後味悪いというより、納得いかない。

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