後味の悪い話 『彼女とは価値観が合うと思った』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『彼女とは価値観が合うと思った』

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331 :本当にあった怖い名無し:2008/07/30(水) 07:22:39 ID:i3I2zmfG0

先日学生の頃からの友人に会ったときのこと。

数年ぶりに彼女が出来たという。

彼女は会社の後輩で、何年も仕事一緒に仕事をしていたのにほとんど会話したことがなかったが、

打ち上げの飲み会で意気投合したのだとか。

友人は無類の活字好きで、彼女とも本の話で盛り上がった。

友人「じゃあさ、○○著の××って読んだことある?」

彼女「それは読んだことないです。○○の△△はすごくよかったです」

友人「△△読んだんだ!○○なら××が最高傑作だよ」

友人は彼女にその本を貸すことを約束した。

○○はロシアかどこかの文豪で、△△が代表作。(自分が無知なので失念)

××ってのは友人の十数年来の愛読書で、擦り切れるほど読んでいるらしい。

友人はやや潔癖で神経質なところがあり、彼女に貸すにはあまりにも酷い状態だったので、

新しい物を買って彼女に渡した。

本を渡した翌週の月曜日、彼女が友人のところにやってきて興奮気味に話し始めた。

土曜日の朝から食事も忘れて読みふけっていたらしい。

日曜日もそんな感じで、分厚い本の4分の3ぐらいまで読んでしまったという。

その週末、本を返してもらうのを口実にデートに誘い、交際することになった。

本の感想は友人が期待した通りで、彼女とは価値観が合うと思ったという。

332 :本当にあった怖い名無し:2008/07/30(水) 07:23:38 ID:i3I2zmfG0

自分「で、その本面白いの?大して興味はないけどさ・・・」

友人「これだけど読んでみるか?まあ、お前は絶対読まないだろうけど」

友人が鞄から取り出した分厚い本には几帳面にブックカバーが掛けられていたが、

さらに可愛らしい手提げ袋に入っていた。

彼女が返したときに入れていたものらしい。

案の定、自分は一生読むことのないだろう小難しい本だった。

彼女のノロケ話をBGMに、その本をパラパラとめくっていると、本の間から何かが落ちた。

新品だと言っていたその本のページには大きな油染み。落ちたのはスナック菓子のカケラだった。

他のページにも挟まっている。サキイカのカスと思われる糸状のものも出てきた。

そして最後のページには、しおり代わりに使っていたと思われるティッシュペーパー。

しかも何かを拭いた形跡がある。

その本を閉じて自分は黙って友人に返した。

あのとき、サキイカやティッシュペーパーはこっそり抜いて渡すべきだったか。

それとも、その場で「なんだこれー」ぐらいおちゃらけてみたほうがよかったのか。

結婚も考えているという幸せそうな友人の顔を見るたびに、モヤモヤする。

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