後味の悪い話 『運営vsプレイヤー』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『運営vsプレイヤー』

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411 :1/3:2013/11/30(土) 04:24:01.14 ID:oP9/7+pAO
何かを取れば何かが…で思い出した話。
普通あんまり馴染みのないシステムのゲームに関する話なんで、
知らない人にもわかるようにと思ったら説明多めで長くなってしまった。
興味の無い方はスルーしてくれ。

さる会社が運営していたPBW(プレイバイウェブ)形式のネットゲーム、『シルバーレイン』での話。
ゲームソフトではなくTRPGに近い、キャラクターのデータは存在するが行動は文章で決め、
それに対して運営側がリアクションを返すシステム。アナログだが自由度は高い。
同じプレイヤーがキャラを複数登録する事もできるので、
ストーリー進行で新しいクラスが追加されたりするのも楽しみの一つ。
普段は大筋とあまり関係ないシナリオを個々にこなしたり、
プレイヤーキャラが集まる学園で行事を楽しんだりがメイン。
定期的に、全員参加可能な大規模のリアルタイムイベント(戦争など)があり、そこでストーリーが大きく進行する。
場合によってはその結果で後のストーリー展開が変わったりする。

例えば、日本各地で封じられたオロチが出現し、
一週間の間、毎日1体ずつ別々の場所に現れるというイベントがあった。
いつどこに現れるかわからないというのが難点で、戦力が足りずに守りきれなかった都市は壊滅してしまう。
運営側はこのイベントでいくつかの都市を壊滅させるつもりで、壊滅後の各都市のイラストまで発注して臨んだ。
しかし、相当数のプレイヤーがいると運営の裏を掻ける人間も集まるもので、
プレイヤー側は巧みに出現場所を予想したり、
有効な移動手段を確保したり(攻撃型のキャラをバスに乗せてまとめて移動するなど)、
手を尽くした結果すべての都市を守りきった。
運営側もプレイヤー達の行動の成果として受け止め、理不尽に予定通りの展開を押し進める事はしなかった。
こうした、ゲームソフトを介してのネットゲームと違って、
想定や規定外の手段で障害を突破できる事があるという前提で読んでもらいたい。

413 :2/3:2013/11/30(土) 04:29:05.47 ID:oP9/7+pAO
同じゲームに、プレイヤーと敵対するいくつもの勢力の中で暗躍する無血宰相トビアスという異形がいた。
この異形という奴らは各勢力の戦いを裏から煽る存在で、ストーリーの仕掛けにも必要らしく、
倒されても何らかの方法で逃れたり生き返ったり、しぶとい黒幕としてプレイヤー側から警戒されていた。
そのトビアスがある戦争イベントに敵として現れた際、どうにかして遺恨を断とうと考えたプレイヤー達は、
ただ倒すだけでなく状態異常の攻撃で攻め、最終的には石化して捕獲する事に成功する。
以前、別の異形が石化から抜け出して復活した例もあったので、プレイヤー達はさらに念入りに、
味方勢力の拠点で影の城という、城主の吸血鬼が認めた者しか出入り出来ない空間へ石化したトビアスを運び入れ、
そこで粉々に砕いて欠片の一つ一つをコンクリ詰めにし、そこの地面に埋めるという手で完全に動けなくした。
最後に城主がその空間を封印。
これによってトビアスは活動できなくなった。

それで大きく影響(打撃ではないが)を受けたのが、運営の予定していたストーリー進行。
なにせ黒幕の一人が予定外に退場したもんだから、路線変更は必要だし使えなくなる伏線も多々出て来る。
それに伴ってゲーム的な展開でも消滅したものがあった。
追加予定だったプレイヤー用クラス「デッドエンドデッド」がそう。
もともと、トビアスが人間をゴーストに作り変えたデッドエンドという兵隊が敵側に投入されていた。
で、後の戦争でプレイヤー達の学園をデッドエンドの軍団が襲撃し、
その戦いの中で死を乗り越えてプレイヤーと同じ能力に覚醒する者達が現れ、
そいつらデッドエンドデッドが共闘し、
仲間になる(PC化。つまりプレイヤーもデッドエンドデッドのキャラが作れるようになる)
というプロットが用意されていた。
しかし、主であり指令塔でもあるトビアスが退場した事でデッドエンド達も活動を停止。
トビアスの魔力によって存在を維持されていた彼らは、仲間に加わる事なく全員が本当の死を迎えた。

414 :3/3:2013/11/30(土) 04:31:23.23 ID:oP9/7+pAO
一部のプレイヤー達が最善を尽くしたおかげで期待以上の結果は出せたが、
それによって本来ならプレイヤー全員に提供されるはずだったものが消えてしまうというのが、
面白いんだがやるせない。
もちろん、そうなる前に運営も規定路線に戻そうとする努力はしていて、
トビアスの奪還作戦なるものが行われている。
これは各地の拠点が同時に襲撃されるという事前情報でプレイヤー側を守りにつかせ、
戦いの途中で襲撃予定の無かったはずの神戸を本隊が急襲し、影の城からトビアスを解放するという陽動作戦だった。
だが、オロチの時と同じく、影の城がある神戸が襲撃されないのは逆に怪しいと踏んだ一部のプレイヤー達が、
最初の持ち場を捨ててまで最速で神戸へ移動し、奇襲に備える。
これによって陽動作戦そのものが防がれた。
以後、ゲーム終了までトビアスは封印されたまま。デッドエンドの死亡も確定。

この件で一番後味が悪いのがメディアミックス展開。
この頃web上でシルバーレインのコミックス版が連載されていた。
その名も『シルバーレイン デッドエンドデッド』。
トビアスの企みでデッドエンドと化した主人公達が、
運命を乗り越えてデッドエンドデッドになるまでの戦いを描く…
はずだったんだと思うが、連載は突然の打ち切り。
後に質問会での「漫画版の主人公達はどうなりましたか?」という質問に、運営側はこう答えている。
「全員死にました」

デッドエンドデッドは現在、TRPG版のHPで公開されているTRPG用のゲームデータとしてだけその姿を残している。
(ルールブック等に正式には収録されていない)

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