ほんのりと怖い話 『立ち入り禁止の林道』

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129 :1/5:2007/12/28(金) 03:22:01 ID:/DfzRugU0

叔父の仕事場にお邪魔した時の話。

新潟に母方の実家がある。長期休暇があるときには、母方の親戚一同がその家に集まる。

実家に住んでいる叔父は一人身で、家から遠くはなれた山奥の養豚場に勤めている。

朝早くから仕事があり、さらに片道最低でも二時間はかかるので、普段は仕事場に泊まりこんでいるらしかった。

七歳くらいの頃だろうか、夏休みのある日、従兄四人+大人二人で仕事場にお邪魔することになった。

理由は良く覚えていないが、多分山菜を取りに行くとかそんな理由だったと思う。

海のそばにある実家から車で長いこと揺られて、やっと養豚場についた。

山奥だとは聞いていたが、想像していたよりももっと奥にあったので、少し驚いた。

養豚場は臭かった。

慣れている人間にはそうでもないらしいが、

養豚場なんてきたことのない者にとって、そこに居るのは正直苦痛だった。

そのため、大人が山菜を取っている間、子供たちだけで遊んでいようということになった。

130 :2/5:2007/12/28(金) 03:22:55 ID:/DfzRugU0

養豚場から少し下ったところに結構な広さの空き地があったので、そこで鬼ごっこ等をしていた。

しかし、七歳やそこらの子供ばかりだったので、流石に長い間は持たなかった。

空き地でやることもなく、ただぼんやりとしていると、従兄のうちの誰かが「探検をしよう」と言い出した。

言うまでも無く全員がその提案に賛成した。

親に許可を取って探検に出かけた。

とりあえず空き地の周りを探索することになった。

そしてすぐに見つけたのが、『立ち入り禁止』と書かれた札。

札はロープにつるされており、ロープは林道をふさいでいた。

そんな札は、子供にとって『入ってください』と言って好奇心を煽っているようなもので、

四人は当然のことのようにロープを越えて、林道を奥へと進んでいった。

林道は意外にも綺麗に整備されていた。(舗道ではなかったが)

何軒か倉庫のような建物もあり、実家の近所にある林道と大した変わりがなかったので、

少し残念に思いながらも、さらに歩を進めた。

131 :3/5:2007/12/28(金) 03:24:25 ID:/DfzRugU0

しばらく歩くと、前から人が歩いてくるのが見えた。

立ち入り禁止の場所から人が歩いてくるなんてのは、今考えればおかしい事なんだけど、特にその時は気にならなかった。

段々と近づいてくるその人は、麦藁帽子を深くかぶって鍬を持っていた。

タオルを首から提げ、長靴も履いていたと思う。

典型的なお百姓さんという感じの人だった。歳は七十から八十といったところだろうか。

その人は俺たちの前までやってくると、地元の言葉で「なんでこんな奥まで来たのか」と話しかけてきた。

(新潟の訛りが強い人は早口なので、生まれてから今まで標準語で育った自分には良く分からなかったため、

従兄に訳してもらった)

俺が答える前に「虫でも捕まえにきたのか」と聞かれ、面倒なので頷いた。

「あんまり奥に行ったらいかんぞ」

そう言って、お百姓さんは俺たちが歩いてきた方へ歩いていった。

「なんか怖いね」

俺がそういうと、従兄も同じ様に怖がっていた。

それでもまだ好奇心が勝っていたため、俺たちはさらに歩いた。

変化はなかった。倉庫があって、たまに耕運機の様な機械が置いてあるだけだった。

それでも、俺たちは何かに(多分好奇心に)とり憑かれたように歩き続けた。

また人影が見えた。麦藁帽子、鍬、タオル、土に汚れた長靴。

「なんでこんなに奥まで」「虫でも捕まえにきたのか」「あんまり奥に行ってはいかんぞ」

従兄は、先ほどと寸分違わぬ口調で翻訳した。

全く同じだ。リピートだ。

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