不可解な体験、謎な話 『お爺さんとバス』 - 洒落怖本舗

不可解な体験、謎な話 『お爺さんとバス』

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465 :1/3:2008/11/24(月) 21:17:34 ID:6QjuRh660
僕が小学6年生の時の話。

当時、僕は吉祥寺にある塾に通っていました。
隣の○○区からバスで通うのですが、その日もいつも通り、塾に行く為に僕はバスに乗りました。

バスに乗ると乗客は疎らで座れたのですが、段々とバス内は混み合い、
気付くと目の前には、1人のお爺さんが立っていました。
岡田真澄ではないですが、ピシッとしたスーツにハットを被り、すらっとした感じのお爺さんでした。
僕は席を譲らなきゃと思い、「どうぞ」と声を掛け、彼は「ありがとう」と笑いました。
当時小学生の僕の考えは愚かで、このお爺さん顔がしわっしわだなとか、マジシャンみたいだな?とか思っていました。
すると彼は「君は優しいねー」とか話しかけ、僕もそれに答える様に話が始まり、気付けば普通に話をしていました。
たわいもない世間話で、会話内容で憶えているのは、塾の事とか成績の話だったと思います。
また、僕が当時健在だった両親から「知らない人と話しちゃいけない」って言われていたので、それを言うと、
「こんな爺に誘拐とか出来ると思う?」って聞かれ、首を振ったのが記憶にあります。

まもなく終点の吉祥寺駅に着くという時、僕はついにアレを聞いたんです。
「マジシャンですか?」って。
彼はしばらく笑っていましたが、バスが停車すると、座ったまま人差し指を立ててこう答えました。
「でもね、コレなら出来るぞ」と。
コレって何だ?と思っていると、乗客達はほとんどバスを降りており、残ったのは僕達だけ。
慌ててお爺さんを置いてバスを降りると、瞬間強烈な赤い光が飛び込んできて眼が眩みました。

466 :2/3:2008/11/24(月) 21:19:32 ID:6QjuRh660
突然の事に驚いて目を開けると、そこには誰もいない・・・。さっきバスを降りたはずの乗客もいないんです。
周りを見渡しても誰一人いない。車も走ってない。乗ってきたはずのバスも消えてました。
でも人がいないことよりも、何より僕が1番怖かったのが、風景というか世界が赤いんです。
なんていうか、赤い光を当てた世界というか、
よくドラマとか映画とかで、黄色とか青とかの発色が強い映像ってあるじゃないですか?
そんな感じで、明らかに異常な風景なんです。
確かに夕方頃だったとは思いますが、そんなレベルの色の強さではないんです。
当時の吉祥寺駅前ロータリーは、ホームレスやスケボー族のお兄ちゃん達が多く、
当時は喧嘩なんかもあって怖かったのですが、
そんな繁華街で喧騒ひとつ聞こえない、異常な色の風景に、僕は怖くなって走りました。
映画『バニラスカイ』のオープニングをご存知でしょうか?まさにアレです。
駅前通りを走っても誰もいない・・・。僕は泣きじゃくって、しゃがみこんでしまいました。

気付くと、目の前にはさっきのしわっしわのお爺さん。
僕は「戻して!早く戻して!」と泣き叫びました。
お爺さんは「ごめんね」と言い僕の頭をなでると、「怖がるとは思わなかったよ。ごめんね」と何度も謝りました。
すると急に喧騒が聞こえ、ふと顔を上げると、普通の風景に戻っていました。
横断歩道の真ん中でしゃがんで泣いていたので、周りの人からは変な目で見られてましたけど。
周りには人だかりが出来ていて、気付くとあのお爺さんはどこかに消えていました。

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