百物語 『ベランダの窓を開けて網戸にして寝ていた』 - 洒落怖本舗

百物語 『ベランダの窓を開けて網戸にして寝ていた』

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84 :のらはり ◆9N4nUN7jEY :2010/08/20(金) 22:41:57 ID:6TdIf/VB0

あれは俺が今のアパートに引っ越したばかりの頃のこと。

その日は暑くて、ベランダの窓を開けて網戸にして寝ていた。

でも夜中やっぱり寝苦しくて、一度目を覚ましてしまった。

そしてふとベランダの方を見ると、男が窓の外に立っていた。

暗くて顔以外よく見えなかったけど、中年くらいの男なのはわかった。

まさか、泥棒!?

そう思ってどうしようか思考をめぐらしていると、

「おい、開けろ」

いきなり男がそう言ってきた。

しかし窓は開いているし、網戸にも特別鍵は付けていない。

85 :のらはり ◆9N4nUN7jEY :2010/08/20(金) 22:43:11 ID:6TdIf/VB0

それでも男は「開けろ!今すぐここを開けろ!」と喚き立てきた。

それを見ている時にふと気付いた。

男は下半身がない、というよりも上半身だけが浮いている状態だった。

それがわかるともう訳がわからなくなって、そのまま意識が無くなった。

次の日の朝、起きてすぐベランダを見てみると、もう男はいなかった。

なんで昨日の男は部屋に入れなかったのだろう?と思っていると、

ふと窓の枠に、百均で売ってる『立ち入り禁止』と書いてあるステッカーが貼ってあった。

どうも一昨日の部屋飲みの際に、友人がいたずらで貼っていったらしかった。

今思うと、そのお守りでもお札でもないステッカーの『立ち入り禁止』という言葉が、俺を救ってくれたのかもしれない。

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