百物語 『木造の分校跡』 - 洒落怖本舗

百物語 『木造の分校跡』

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50 :うむ。:2000/08/14(月) 11:27

22話。

同じく長野で働いていた時のこと。

住み込みの職場で、しかも木造の分校跡を寮に使っていました。(私はそこの舎監)

ある晩、二階の自室から一階のトイレに行った所、階段の降り際にある窓からふと外を見ました。

ちょうどグランドが見えるのですが、そこを小走りに6,7歳くらいの女の子が駈けていきます。

そのまま校舎の裏手に回りました。

私は「子供(小学生の寮でしたので)が抜け出したのか?」と思い、トイレに入りました。

ここの窓からは、子供の入った校舎裏が見渡せます。

急いでトイレの窓を開けると、誰もいません。

不思議に思った私は、

「まだ中には戻っていない。子供部屋を調べて、いない子供が犯人だ」と思い、4つの子供部屋を見回りました。

でもみんな寝ています。

実はその人影そっくりな子がいたので怪しいと思っていたのですが、ぐっすり寝ています。

翌朝、なんとなくその話をみんなにしたところ、私が怪しいと思っていた子が、

「夕べ知らない子とグランドで遊んでいる夢を見た」と言うのです。

詳しくその子の姿形を尋ねると、スラスラ答えます。

低学年だから作っているとも思えません。

では、あの人影はこの子の生霊?

後日、地元の人と話している時にそのことを話すと、

近くを流れる川は護岸工事する前は急流で、よく子供が落ちて死んだそうです。

「その誰かが、出てきて遊んだんじゃねえかな?」

そう、地元の年寄りはこともなげに言いました。

その何でも無さが、よけい怖かったです。

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