百物語 『とある旅館の取材』 - 洒落怖本舗

百物語 『とある旅館の取材』

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149 :名無しさん@おーぷん :2014/05/07(水)09:00:29 ID:???

自分が一時期テレビ局に勤めてたときの話。

その時はオカルトやらの全盛期で、自分のいた局も例に漏れずそういうのを作っていた。

で、そういうのを撮っていると少なからず怪異に遭遇する。

だからうちの局は、そういうのに対処できる人を必ず連れていく規則がある。

その人(以後Yさん)の除霊についての話。

初めて除霊を見たのはとある旅館の取材の時。

旅館に着いて開口一番に「あーやばいかも」とYさんが監督に話してて、

その日は大事をとって一日様子見、その夜は景気づけに軽く宴会して寝た。

次の日にYさんと監督が取材箇所のの下見に行って、

Yさん曰く「本当に居るし気が立ってるからやめたほうがいい」と。

監督としては(幽霊は出なくていいから)仕込みも入れて、それっぽいものが撮れればいいと言う主義なんで、

やめようと言う事になって上に連絡。(それほど予算もかかってないし、ほかにも候補があった)

だけど説明中に、監督が口を滑らせてしまい『絶対本物撮って来い!』って言われて撮影強行。

昨日や今日の事もあってスタッフ全員乗り気じゃないけど、給料もらってるし嫌々ながらも撮影開始。

途中までは順調に進んで撮影も中盤まで行って、

裏方は出るらしい大広間に機材を設置し始めて、俺もそっちの手伝いをしてた。

すると機材を運んでいた音声さんが、

立ち止まったまま「うっ・・・うっ・・・うっ・・・うっ・・・」って言いながらその場でユラユラと体を揺らし始めた。

近くに居た俺は、気分でも悪くなったのかな?って思って、

音声さんが持ってた機材を安全な場所に置いてから、

(薄情とか言うなよ?糞高い機材だったから壊したらクビですむかどうか)

大丈夫ですが?ってきいたんだけど、無反応でゆれ続けてる。

一瞬、からかってるのかな?って思ったんだけど、

その音声さん、昔の職人みたいな性格の人で冗談も言わない人だったから、

あ、これはやばいかもって、ゆすったり名前呼んだりしたんだけど変化なし。

騒ぎを聞きつけて他のスタッフも集まってきて、ちょっとした騒ぎになって、

スタッフがYさんを呼びに行って取材は一時停止。

旅館の一室借りてお払い開始。

自分はYさんのお払いを見るのが始めてだったから、正直わくわくしてた。

最初にYさんの指示で、憑かれてる音声さんを俺とアシスタントの二人で(なぜか立とうするのを)強引に座らせて、

Yさんが前に来て何をするかと思えば、神社なんかでするように「パン!」って手を合わせてを何回か繰り返した。

そのたびに音声さんの肩が「ビクッ」って上がる。

それを4、5回繰り返して、Yさんが「ん?だめか。そのまま押さえててね」って言って、

音声さんの背後に回って、背中から半歩引いた位の距離に立った。

ん?っと思ったら、おもいっきり振りかぶって、「スパーーン!!」って背中におもいっきり平手?

その瞬間、ありえない位の衝撃で音声さんが正面に吹っ飛んで、

あまりの事で俺もアシスタントも押さえきれずに、音声さんは正面の座布団の山に前のめりに突っ込むかたちに。

はたから見るとすっごい間抜けにみえるんだけど、自分もアシスタントもポカーンとしてた。

だっていくら振りかぶったって言っても、平手打ちでそんなに吹っ飛ぶはずない。

変な例えになるけど、ドロップキックでもされたような衝撃だった。

Yさん曰く、これで除霊完了。

音声さんもすぐ目を覚まして、その後は何事もなく撮影終了。(ちなみに撮影した部分にはそういうのゼロ)

その後聞いたけど、Yさんの除霊はぞれでいいらしい。

昔から大半の霊は手を打つだけて払えて、それてもだめなやつは力いっぱい叩けば払えるらしい。

あと、それが本業じゃなくて、本業は家具かなんかの職人やってるそうだ。

俺は局もうやめちゃったけど、Yさんとはよく飲み行ってる。

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