605 :本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 12:28:21 ID:i3RgJz5L0
とんだチキン能力者の話を一つ。
俺の友人に、とても霊感が強いヤツがいた。
ただ強いだけでなく、側にいる人間(全員ではないが)も見えてしまう程だ。
俺が霊感少年ウラと出会ったのは中学のとき。
その頃から、そう言う意味で有名だった。
中2で同じクラスになり、好奇心旺盛な俺は早速話しかけ、
「一緒に霊所スポットへ行かないか?」と誘ったのだが、
ウラは見える能力のせいか、自分からそう言った場所にはけして近づこうとはせず、
それどころか、かなりのチキン野郎だった。
でも、どうしても自分の目で幽霊が見たかった俺は、夕方にウラを遊びに誘った。
そして、男子数人と首つりがあったと言われる公園へと、うまく誘い出す事に成功した。
暫く公園をうろついたが霊なんて出る気配は無く、諦めかけていたとき、
「あ~あ、やっぱり幽霊なんて出ないな」
誰かがポロっと言ってしまい、ウラに今日の計画がばれてしまった。
最初はふてくされていたウラだったが、
「全然恐い感じしないし、みんないるから今日は出ないよ」とウラが言ったので、その日は帰る事にした。
ところが、ネタを証しても怖がらないウラが面白くなかったのか、幽霊が出ないからか、みんなでウラをからかい出した…。
「ここは落ち武者の霊も出るって有名なんだぜ~」
と俺が言うと、面白いくらいに怖がるので、みんなでどんどん話しを大きくしていった。
「…それで、血を流した落ち武者が手招きを…」
「やめてよ…やめてよ」
怖がるウラを見てウシシと笑っていると、
「なぁあれ何だろう?」
木陰のすみを指して誰かが言った…
「え?何々?わかんないよ」
中には見えていないヤツもいたが、俺と最初に見つけたコウジには、
ハッキリと手招きする血まみれの武者が見えた。
それを見て大声で叫んだウラを合図にパニックになり、皆散り散りにその場を逃げ出した。
俺は次の日に知恵熱を出し、学校を2日も休んでしまった。
2日目の夕方学校帰りのコウジがお見舞いに来てくれた。
606 :本当にあった怖い名無し:2007/05/30(水) 12:30:51 ID:i3RgJz5L0
俺が呪われたのでは?と心配したらしいが、俺自身はすっかり元気になっていた。
話題はもちろん公園の落ち武者…コウジは酷く怯えていたが、俺は思ったより平気だった。
それどころか、何か引っかかっていた。
「それでさ、学校は落ち武者の霊の話しで持ちきりで。
落ち武者の伝説がいっぱい出てきてさ、俺なんて見ちゃってるから恐くて、話題に入れなかったよ…
ウラなんて超チキンじゃん?びびりまくって学校早退してたよ」
コウジの話を聞いて、無理矢理連れて行った事を改めて悪いと思った。
コウジと落ち武者について話し合っていて、ある事に気づいた。
コウジが見ていた落ち武者と、俺が見た落ち武者が違っていたのだ。
「首が無くて全身血まみれ、大きく手を振っていた」
とコウジは言ったが、俺が見た落ち武者は顔があったし、手招きは指だけだった。
そして幽霊を見たと言うことで忘れていたが、落ち武者は、あのとき俺が付いた嘘だった事を思い出した…
落ち武者なんているわけ無いのに、俺たちは落ち武者を目撃した。
この謎が解明されたのは、数ヶ月後の廃病院での事件の後。
話しが長くなるので端折らせてもらうが、ウラは霊能力者では無く超能力者だった。
自分自身に『幽霊がいる』と言う暗示をかけ、パニックになると、その暗示が回りに伝染するのだ。
見ている幻覚は個々がイメージした霊なので姿はバラバラ。
『落ち武者』と全員にポイントが伝達されていれば、個々がイメージした『落ち武者』が見えるのだった。
ウラのこの能力に、俺とコウジは卒業までよく振り回された。
その話をまたの機会に書きたいと思います。
それでは…。
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