27 :part1:2005/10/29(土) 14:15:05 ID:OXpG3vFI0
わたしが実家を出て2年。
1人で一軒家に住んでいた母親が再婚を機に遠くへ引っ越す事になったので、実家を人様に貸すことになりました。
運良くすぐに、家を新築する間だけというご夫婦が借りてくれる事に決まりました。
半年ほどその夫婦が住んでいましたが、先月めでたく家が完成したとの事で出ていかれたので、
一番住まいが近いわたしが家の様子を見に行きました。
まず庭に向かうと、庭の隅に板が立っているのが見えました。
板は雨にさらされたからか汚れていましたが、字が書いてあったように見えます。
裏を覗くと『○年○日』と、こちらはなんとか読み取れる字が残っていました。
まさかこれ・・・ペットとかのお墓?
いくらペットとはいえ、借家の庭にお墓等を立てるものでしょうか?
わたしも昔犬を飼っていましたが、絶対そんな事したくないです。
それに、契約時にペットを飼うという話は聞いていませんでした。
何か嫌な気分になり家に入ると、ツンとする臭いが感じられました。
半年だけでも他の方が住んでいたのですから、
多少その家庭の臭いがついてしまっているのだろうと思って、気にしないようにしていましたが、
どうやら匂うのはお風呂場の方からだけでした。
脱衣場の扉を開けると、すえたような不快な臭いがこもっていました。
実家は築20年以上ですが、3年程前に大規模なリフォームを行ったので、
(特にお風呂場は完全に取り壊して作り直しました)
古さから来る臭いではありませんでした。
下水道が臭うのかしらと足を踏み入れると、下に濃紺の足ふきマットが敷いたままになっていました。
28 :part2:2005/10/29(土) 14:15:48 ID:OXpG3vFI0
母の引越しを手伝ったので、それは母の物ではないのが分かりました。
これが臭いの原因かとめくってみると、床に大きな染みが残っていました。
染みを隠す為にわざとマットを敷いたまま出て行ったのかと思うと凄く腹が立ったので、
その場で仲介した不動産屋に電話をしました。
『すぐ確認しに行きます』と担当の方が言ったので電話を切って、何もない居間に座って待っていると、
ぴたん、ぴたん、と足音のような、水音のようなものが聞こえて来ました。
気のせいかと思い無視していても、かすかに聞こえてくるので、
台所やトイレ等の水まわりを見ましたが、どこも水は出ていません。
となると残りはお風呂場なのですが、行く気になれずにそのまま放置決定。
居間に戻るとまた、ぴたん、ぴたん・・・
外は薄暗くなり、電気が通ってないのを思い出して怖くなりました。
やっと担当さんが来て染みを確認してもらい、その車でお店に行き、借りていた方に連絡を取ることになりました。
『よく覚えていない』と言う借り主の奥さんの言葉にちょっと怒り気味な担当さんは、
「今から現場に来て、一緒に確認してもらえませんか?」と奥さんを呼び出しました。
1時間後、奥さんと現地で待ち合わせた我々は、暗くなっていたので懐中電灯を持って染みの確認に入りました。
「これですよこれー覚えない程小さな物じゃないでしょ」と声高に言う担当さん。
(ちゃんと退去時に確認とらない貴方も悪いんじゃ・・・と思うわたし)
すると奥さんは「すみません」と言って、泣き出してしまいました。
びっくりしましたが、取り合えず事情を聞く為に一緒にお店に戻ると、奥さんが事情を話しはじめました。
29 :part3:2005/10/29(土) 14:16:19 ID:OXpG3vFI0
ウチに住んでいる時、脱衣場で大怪我をして、その染みは血によるものという事。
(本当かどうかは分かりませんが、
奥さん曰く「そのまま病院に入院して、拭く暇がなく染みになってしまった。いくら掃除してもとれなかった」との事です)
そして何故か、ご主人が浮気をして全然家に帰って来ない事まで泣きながら話されました。
とにかく「分かっていたなら一言言って欲しかった」と担当さんが言い、
床は張り替えて、工事費用は全て借り主さんが払うという事で折り合いがつきました。
その時ふと、庭のお墓の事も思い出したので聞いてみると、
「住んでいる時に流産したので、その子供のお墓を建ててあげた」とおっしゃいました。
担当さんもわたしも絶句。
奥さんは「主人が悪いんです」と泣きじゃくっているし、どうしようもなくなったので、
一旦お帰り願い、後日改めて担当さんと話してもらう事にして、わたしは自宅へ帰りました。
話合いの結果、お寺にお願いして、先週末に庭のお墓をお寺に移動してもらい、きちんと御祓い等もしてもらったのですが、
なんとも後味の悪い思いをした秋の日でした。
下見に来た時はとても仲良さそうなご夫婦だったのにな・・・。
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