後味の悪い話 『優しそうなベテラン先生』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『優しそうなベテラン先生』

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961 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 08:36:55 ID:dI4+4aLaO

今から10数年前の事。

私の兄は今でいうアスペルガーっぽい感じで、

勉強は非常に出来たが、授業をまともに受けたり、人間付き合いをうまくこなす事が出来ず、

先生や生徒達からも問題児扱いされ、そのせいで時に不当な扱いを受けたりしていました。

両親、特に母親は自分の息子に非があるため、

またしつけをしようにも全く聞き入れない兄に対し、いつも悩み苦しんでいました。

そんな中、兄が小5の時の担任(優しそうなベテラン年輩女性)がとても熱心に兄に接してくれ、

そのおかげで兄は段々と穏やかな小学生らしい男の子になっていきました。

962 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 08:44:01 ID:dI4+4aLaO

そしてその先生は、ノイローゼ気味だった母に対しても熱心に接してくれたおかげで、母も穏やかになり、

それから母はその先生に強い信頼を抱き、だいぶ頼っていくようになり、

いつしか家族ぐるみ(先生側は先生と旦那さん)のお付き合いが始まりました。

しかし兄が学校を卒業するころには、家族ぐるみの付き合いは終わり、いつしか先生の話題も出なくなりました。

そんなある日、先生にAちゃんの話をされました。

Aちゃんとは当時私の学年にいた不登校児の女の子なんですが、

私は一度も同じクラスになった事が無かったので、Aちゃんの事は分からないと告げました。

963 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 08:51:11 ID:dI4+4aLaO

すると、

「Aちゃんはとても可哀相な子なの。お友達が居ないのよ。だから○ちゃんが(私)お友達になってあげて」と言われ、

兄の事でお世話になった手前、

先生(このころは教頭になってました)と毎週木曜日に、Aちゃんの家に行く事になりました。

最初は初対面同士でギクシャクだったAちゃんと私も、回数をこなす事にだいぶ仲良くなり、

Aちゃんも打ち解けてきました。

Aちゃんはとても可愛い子でしたが、俗にいう恥かきっ子のせいもあるのか、とても我が儘な子でした。

でも私は兄で慣れていたのもあり、割りと仲良くしていた記憶があります。

964 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 08:57:12 ID:dI4+4aLaO

そんな日々が過ぎ、季節はクリスマスの時期になりました。

ある日学校で先生に、

「明日の夜、先生とAちゃんと○ちゃんで一緒にクリスマスパーティーをしましょ。お母さんには私から電話しますから」

と言われました。

家に帰り、夜、先生と母が電話口で話しながらもちょっと揉めている感じ(母が困り切ってる)でしたが、

結局行く事になり、私はとても楽しみにしていました。

それとは正反対に困惑気味の母。

それを尻目に翌日の夕方、向かえに来た先生の車に乗って、暫くのドライブとなりました。

965 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:02:36 ID:dI4+4aLaO

先生の家でやるとばっかり思っていた私は(げんに母にはそう説明していた)、一体どこへ行くのか不安になりました。

昔、先生の家に遊びに行った事があり、割りと我が家から近かったのを知っていたからです。

小一時間程度走り着いた先は、なんだか不思議な建物でした。

そこには大人や子供がたくさん居て、みんなクリスマスのかっこをしており、飾り付けもいっぱいあって、

愉快な音楽が流れていました。

私達が部屋に入るといきなり大人の人に手を取られ、それから全員で手を繋いで丸い形になり、踊りが始まりました。

968 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:09:16 ID:dI4+4aLaO

呆気にとられたまま、気付くとAちゃんと先生の姿は見当たらず、私を見知らぬ大人達が囲んでいました。

大人達はから揚げやポテトフライを取ってくれて、

でも緊張のあまり食事が喉を通らない私をみて、紙コップに入ったオレンジジュースをくれました。

喉は非常に渇いていたので、それを飲み干すと、なんだか飲み慣れない味がして、暫くむせました。

それから頭がぼーっとした感じになり、椅子取りゲーム等をした覚えがあるのですが、定かではなく、

気付く先生の車の中にいました。

969 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:15:00 ID:dI4+4aLaO

私が起きたのに気付くと先生は、

「今日はAちゃんと先生の家でパーティーをしたのよね?」と言いました。

私は「え?三人で人がいっぱいいるとこいったよ!」と言うと、

「いいえ、三人で先生のお家でパーティーをしました。お母さんに聞かれたらそう言うの!」

と普段聞いた事もない怖い口調で言われたので、私は何も言えなくなり、

先生が母に「○ちゃんは今日もいい子でしたよー。私の手伝いしてくれて、一緒にケーキ切ったのよね?」

等と言ってる時も、頷くだけしかできませんでした。

972 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:21:44 ID:dI4+4aLaO

それから私の中でその記憶を封印していたのですが、私が大人になった時、

ふと母に「実はさ、あのとき、なんか変なとこに行かされたんだよね」と、その話をしてしまいました。

すると母は目の色が変わり、次の事を私に告げました。

兄の事で力になってもらっていた時、突然誘われて半ば強制された形で変な人に会わされた。

その人は今まで聞いた事もない神様の名前を口にし、そしてその神様に従えば兄は更にいい子になると言われ、

今ここで誓いの印しに血判を押せと言われたそうです。

我が家は仏教徒なのでそれは頑なに拒否し続け、何時間かしてやっと開放されたらしいです。

973 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:29:56 ID:dI4+4aLaO

それからもしつこく勧誘されたので、先生との距離を置いていたのですが、

クリスマスパーティーの件の時も最初は断ったらしいのですが、

「不登校のAちゃんを救うためにお願い。

 あなたも○○くん(兄)の事で苦しんだから、Aちゃんの親御さんの気持ちも分かってあげて。

 家でパーティーするだけだから」

と言われ渋々承諾したらしいのです。

色々分かって、あぁなるほどなぁと思っていたのですが、

何が後味悪いって、私、そのパーティーの日に人差し指の先を怪我してたんですよ。

先生はケーキを切る時に切ったというんですが、なんとも言えない気持ちです。

974 :本当にあった怖い名無し:2007/08/19(日) 09:39:04 ID:dI4+4aLaO

私が大学生になるころまで先生は、たまに実家に電話をよこし、兄や私の動向を聞いていたりした様ですが、

私が大学生を卒業する頃に亡くなったみたいです。

今は実家も引越し、私は単身で東京に居ます。

Aちゃんとはあのパーティー以来何故か疎遠になり、学校にもくることはありませんでした。

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