138 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:25:32.41 ID:2Bh5lkYe0
昔読んだヨーロッパの昔話。
ある田舎の村に二人の娘(以下AとB)がいた。
二人はいとこ同士だったのだが、どちらも幼い頃に両親を亡くしたので祖母のもとで姉妹同然に育ってきた。
その祖母が亡くなる間際、
二人に「家の箪笥の中に願いを一つだけ叶えてくれるろうそくが二本あるから、一人一本ずつ持っていなさい」と言った。
ろうそくに火をつけて願い事を言うと、願いに対応した精霊が現れて願いを叶えてくれるらしいが、
結局祖母本人は使わなかったので二人に譲るのだという。
祖母亡き後AとBはろうそくを大切にしまっておき、二人で自給自足の生活を送っていた。
139 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:28:28.19 ID:2Bh5lkYe0
ある日、偶然この国の王子が遠乗りで二人の住む村の近くを通りかかる。
畑仕事をしていたAは、遠目ではあったが王子を見て一目ぼれしてしまう。
眠れぬ夜が続いた末、ついにAはあのろうそくの力を使うことにする。
「王子様に愛されたい」という願いに応じて現れたのは、美青年の姿をした愛の精霊だった。
彼はAにバラの種を授け、大切に育てるようにと言った。バラが順調に育っていれば愛も順調に育まれるという。
そして、「もしこのバラに何かあったら、この国のどこかにいるから自分を探してくれ」と言い残して精霊は去って行った。
140 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:35:20.65 ID:2Bh5lkYe0
早速バラを育て始めるA。
丁寧に世話をしていると、Aは頻繁に遠乗り中の王子を見かけるようになる。
王子も休憩の場を求めて村を訪れ、AとBの家に立ち寄る事も多くなったのでAと王子が話す機会も増えた。
そしてバラが白い花をつけた時、王子はAにプロポーズする。
Aは晴れて王子と結婚し、数年の後には息子も生まれて幸せの絶頂にあった。
もちろんあのバラも城の庭に植え替えられ、大事に世話されていた。
141 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:42:08.74 ID:2Bh5lkYe0
さて、面白くないのはBの方である。
Bも同じように王子に接触していたにも関わらず、Aばかり愛されるのに納得いかなかったのだ。
Aの結婚に伴いBも王族となって優雅な生活を送れるようになったものの、Bは気持ちを抑えられずついにろうそくを使った。
「Aの幸せを邪魔したい」と願ったBの前には、醜い老婆の姿をした妬みの精霊が現れた。
彼女はBに一匹の蛇を渡すと、Aが大切にしているバラの木の根元に埋めるように、と言って消えた。
142 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:45:20.46 ID:2Bh5lkYe0
Bが密かに蛇をバラの木の根元に埋めるとたちまちバラの木は枯れ始め、どう手を尽くしても生き返りそうになかった。
それに従い、王子は公務が忙しくなってAとの会話が激減。そこに付け込んだBは王子にAの悪口を吹き込むのだった。
バラが完全に枯れたのを見たAは愛の精霊の言葉を思い出すと城を脱走、国中を探し回った。
田舎の古い教会で精霊とようやく再会したAは事情を話す。
精霊は唯一の解決法を教えるとAを夜のうちに城までワープさせ、また去って行った。
143 :本当にあった怖い名無し:2014/03/01(土) 13:49:59.73 ID:2Bh5lkYe0
城に戻ったAは、大急ぎで王子とBに置手紙を残すとまた出て行った。
翌朝、手紙を発見した王子とBが庭に出てみると、
あのバラの木の下で枯れ枝を心臓に突き刺して絶命しているAを発見する。
唯一の解決法とは『Aの心臓の血をバラの木に注ぎかける』というものだったのだ。
その日からバラの木は復活したのだが、つける花は白ではなく赤に変わっていたのだった。
王子は生涯後妻を迎えず、Bは自分のした事に気づいて出家、みたいなオチも付いてた。
愛が復活しても自分が死んだら意味ないと思うんだよなぁ、ってなって後味悪かった。
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