後味の悪い話 『淋しいお正月』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『淋しいお正月』

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495 :本当にあった怖い名無し:2006/07/12(水) 00:59:52 ID:1LAzSGGSO

ひと昔前に読んだ新聞記事。

一部うろ覚えなんですみません。

正月のとある町で、菓子パンを万引きした子供が捕まった。

その子は薄汚れた格好に疲れ切った表情を浮かべており、見るからにただならぬ様子だったという。

ただちに身元を調べたところ、隣県の児童福祉施設に入所中の子と判明した。

それも年末に無断で抜け出し、行方不明になっていたという。

調べに対してその子は、

「自分もお正月は家で過ごしたかった」と話した。

彼は両親の離婚後、父方に引き取られたものの施設に預けられ、

面会すらも無く、正月の一時帰宅も叶わず淋しかったのだという。

そこで隣県に住む母なら正月を一緒に過ごしてくれると思い、施設を脱走したのだった。

所持金などない彼は、ひたすら歩いて数十キロあまり離れた隣県を目指したそうだ。

なんとか県境は越えたものの、空腹に耐えかね、ついに盗みを働いてしまったのだった。

事のいきさつを知った警察と施設側は、母親の居場所を調べ、子供が会いにきていることを知らせた。

しかし母親の返事は「内縁の夫が同居しているので引き取れない。会う気もない」と拒絶するものだった。

それを知った子供はうなだれながら、施設に帰っていったという。

そしてこの記事が載って数日後。

反響が大きかったらしく、特別にコーナーが設けられ、読者の感想がいくつか紹介されていた。

なかでも『淋しいお正月だったこの子に、せめてプレゼントを』と、複数の読者から現金が寄せられたそうだ。

それに対し編集部のコメントが、

『何かあるとお金を出す、というのはいかがなものでしょうか。

 お気持ちは〇×新聞愛の基金(仮名)に寄付とさせていただきます。』

だった。

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