百物語 『奇声』 - 洒落怖本舗

百物語 『奇声』

スポンサーリンク
スポンサーリンク

480 :メカ寿司:2000/07/01(土) 23:26
@@@@@ < 072/100 > @@@@@@
友人Aの話。

彼が住むマンションに、迷惑な酔っぱらいがいた。
斜め向かいの部屋の男で、明け方近くに帰ってくると廊下で奇声をあげるのだ。
フリーデザイナーのAはそんな時間まで仕事をしている事が多く、酔っぱらいの奇声で集中力を削がれるのだという。

腹に据えかねたAは、ある夜、酔っぱらいの奇声が聞こえると同時にドアを開けた。
「わわッ!! 」
その男はもう一度奇声を発し、まじまじとAの顔を見ると、恥ずかしそうにぺこりとお辞儀をした。
……文句を言おうとしたAだが、素面にしか見えない男に拍子抜けして、そのままドアを閉めた。

しばらくすると向かいの部屋の男は引っ越し、OLらしい女性が入居した。
もう奇声を聞くこともないだろうと安堵したAだったが、年末の深夜に女の奇声を聞いた。
反射的にドアを開けると、彼女は前の住人と同じように驚き、Aの顔を見た。
何か言いたそうにしている様子が判った。
彼女が口を開きかけたのを見て、Aはドアを閉めた。

おそらくあの二人は、Aの部屋のあたりに何かを見たのだ。
「変な話は聞きたくないから、普段も会わないようにしている」とAは言う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました