後味の悪い話 『女子工員』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『女子工員』

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735 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/05 12:36

うろ覚えなので変なとこあってもご愛嬌。

長女である妹が製糸工場へ勤める事になった。

この村の女は大抵女工になる。こんな田舎村で農作業をするよりもよっぽど金になるからだ。

連れられていく妹を見送りながら横目で米俵を見る。妹と引き換えに得た米…。

父も母も兄弟達も妹よりも米俵に気が行っているようだった。かく言う自分もそうだった。

今日は米の飯が食えるぞとそればかり。

勿論別れは寂しいし、妹にばかり大変な思いをさせて…と申し訳なく思う気持ちもあった。

が、その後ろめたさも米俵の前では薄れてしまう。  

貧しかった。ひもじかった。かなしかった。

数ヶ月後、工場の近くの川で胆がえぐり取られている男の死体が発見された。

そのまた2,3ヶ月後女の死体が見つかった。死体には胆がなかった。

736 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/05 12:38

労働条件が悪く労働環境の不衛生な製糸工場で、ある病が流行った。

当時恐れられていた結核だ。その結核の民間療法として怪しげなものまで信じられていた。

…胆、人間の胆が結核に効く、食べると結核が治るというのだ。

どう考えても異常なのだが、藁をもすがる思いが常識感覚を麻痺させていたのかもしれない。

兄は胆を結核になった妹に差し入れとして、食べさせていたのだ。

結局というか当然の事だが、結核は治るはずもなく、妹は工場内の隔離小屋で病死。

兄は…逮捕され、妹が死んだと告げられて数日後に自殺した。

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