不可解な体験、謎な話 『見たことの無い風景』 - 洒落怖本舗

不可解な体験、謎な話 『見たことの無い風景』

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607 :1/3:2005/10/09(日) 01:59:46 ID:rl3yKNJw0

丁度良いスレがあった・・・子供の頃、幼稚園の時に体験した事。

誰かに打ち明けたかった。

俺(今32才♂)が幼稚園の頃、埼玉県の吉川って所に住んでた。

今はどうだか知らないけれど、

当時は田んぼの真ん中に団地がちょっと固まってるぐらいで、夜なんて街灯もほとんど無く真っ暗だった。

団地の敷地から一歩出ると、地平線が見えるぐらいだったのよ。

俺は子供の頃、良くラップ音を聞いたり、

仕事に出ていたはずのオヤジの声に呼ばれたと思ったら、そのオヤジから電話がかかって来たりとか、

幽霊見たりだとか不思議な体験が色々あった。

今でも知らない町を散策(趣味w)してる時に、ふと脚を止めると花束のまん前、なんて事が良くある。

あの頃に比べたら今は何も起きていないに等しいが。

んで、ある日夕暮れ。いつもの公園で遊んだ帰り、いつものようにいつもの曲がり角を曲がった。

その角の先には俺の住んでいた棟があって、家までほんの少しのはずだった。

薄暮ってのは、(俺の経験上だけれども)真夜中よりも妖しいことやモノに出くわすから、

俺はせき立てられるように、安全で暖かい家を目指して一生懸命走ってた。

んで、角を曲がった瞬間、俺は立ち尽くした。

そこにあったのは見慣れた団地の棟ではなくて、見たことの無い風景だったからだ。

608 :2/3:2005/10/09(日) 02:01:44 ID:rl3yKNJw0

そこにあった風景は、絵であれば詳細に書けるぐらい網膜に焼き付いているんだけれど、

文章で上手く表現できるのかわからない。

突然目の前に開けた空間にはなんと言うか、

黄砂でかすんだような、明るい黄色に茶を混ぜたような色の空が広がり、

空間の3分の1ぐらいの所に地平線があって、空との境目はまるでエアブラシをかけた様にぼやけていた。

地面は今思えば砂のような感触で、子供用の薄い靴の底がとても冷たかった。

右手側には、太い鉄色のパイプを複雑に絡み合わせた建造物があって、

左手側には、ガラスかそれに近い透明の棒で組まれた、少しいびつで不規則に組み上げられた、

巨大なジャングルジムのようなビル、もしくはビルのようなもの。

冷たい風が強く吹いていたけれども、砂や埃は舞っていなかった。

寂しい光景だった。

砂と地平線と、明るいけれども茶色の空と、無機的な二つの建物しかなかった。

後ろは振り向けなかった。怖かった。

同じ風景が続いていたら多分耐えられなかったと思う。

そのまま、一、二歩踏み出した。もう家には帰れないと思った。

そうしたらコケた。

609 :3/3:2005/10/09(日) 02:03:28 ID:rl3yKNJw0

コケてヒザ小僧をガツンとぶつけたのは団地の階段だった。

夢中で駆け上がったよ。(俺の家は5階だった)

家に飛び込むと、ベッドに飛び込んで布団を頭からひっかぶって泣いた。

怖かったんじゃなくて、無性に哀しかったら。声を絞ってただひたすら泣いた。

その体験以降、俺の中で何かが欠け落ちた。

この直後、小学校に上がって、俺は千葉県の習志野市に引っ越すんだが、小学校と中学校の記憶がほとんどない。

母親に言わせると、すぐ風邪を引くヤワな子供になってしまったらしく、さらにはあまり笑わなくなったそうだ。

「あんた、あんなに可愛かったのにねぇ。どうしたのかしら」とよく笑われるよ。

九九を覚えたり文字を覚えたりするのも極端に遅かったらしい。

ようやく記憶が確かになるのは高校以降で、

あの体験以前の幼かった俺と、その時から今の俺には、埋めようの無い断層がある。

でも、それはしょうがない。

いまさら取り戻せる性質のものではないから、諦めるしかない。

ただ、あの風景。

寂しくて、哀しいあの風景が何であったのか。

そして、あの風景に落として来てしまった俺の一部が何であったのか。

今でもその疑問は頭から離れる事が無い。

何かとても大事なものだったように思うのだけれど・・・

時折、深い喪失感がみぞおちを抉ることがある。

そのせいかしらんが、俺はまだ毒男w

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