685 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 20:27:51 ID:vgt6Bhzl0
数日前に居間でテレビを見てたら、玄関チャイムを激しく連打されました。
けたたましい呼び出し音に、俺はちょっとキレぎみに玄関に向かったんですが、
我が家の玄関の扉はすりガラスになっていて、外に立っている人の背恰好くらいは判るもんだけど、
いつもはモザイク調に見える来訪者のシルエットが、その時はなかったんですね。
あれ?確かに鳴ったよな。とかって鍵を外して玄関の戸を開けたのに、そこにはなんにもいない。
庭にも庭から伸びる細い道路にも、それどころか、その一つ向こうの国道にさえも人っ子一人居ないんですね。
子供のいたずらかな?と俺は大して気にも留めずに、居間に戻る事にしました。テレビの続きが気になったんです。
そしたら、さっきまで熱心に洗濯物を畳んでいた母が、居間の入り口に仁王立ちして、
何故か俺を睨んでるじゃないですか。
俺があまりの形相にビビりつつも何事かと聞くと、母は意味不明な事を言い出したんですね。
「あんたさっき開けちゃったでしょう?玄関」
「開けたけど?」
当然のように俺が答えると、母は呆れた顔になり、そっぽを向いてしまいました。
訳の分からん女だと思いつつも、コタツに潜った俺の意識は、気になっていたテレビの続きに集中して行きました。
それから30分くらい経ったでしょうか。テレビは終り、母は台所で夕食を作っていました。
後ろから日本食の良い匂いがしてきます。
今日の夕食は親子丼だろうと勝手に予想をつけ、
喉の渇いた俺は、台所の偵察がてらに冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取り出して、キャップを捻ります。
いざ飲まんとした時、母が後ろの方で何か言いました。
水音に掻き消されて最後は良く聞こえなかったけど、
多分「あんたが開けちゃったから入ってk@hwm;p」とか言う、俺の行動に対する不満の愚痴だったようです。
その日の夕食は俺の予想通り親子丼で、俺は何事もなく無事に夕食を済ませ就寝しました。
689 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 21:14:08 ID:vgt6Bhzl0
次の日の朝、いつもは爽やかに訪れるはずの目覚めが、何故か一向にやってきません。
むしろ、身動きがとれないほどに息苦しいくらいでした。
もしやこれが金縛りという奴か!と、臆病な俺は一瞬でガクブルし、それでも正体を見極めるべく薄く瞼を開けました。
弟でした。隣の布団で寝ている筈の弟が、最高に不機嫌な顔で、俺の腹部を脚で圧迫しています。
通りで苦しい筈です。俺は怒りも露に飛び起きて、不機嫌な弟にこの狂行の理由を問い質しました。
すると弟は、訳の分からない言い訳を始めました。
「お前の所為で俺は一睡も出来なかった。謝るならお前さんの方だ」
(゚д゚)となった寝起きの俺に、弟はさらに、
「お前が入れたのに、何で俺の所に来るのか全く訳が分からない」
と、電波な発言をかましました。
俺としましては、何も連れて来たつもりは無いし、なんでそんな物でお前が睡眠不足になるんだと釈然としません。
しかし寝起きだったからか俺は、「何それ、どっから来たの?」と、知性の欠片も無い反応を返してしまいました。
弟はそんな俺に呆れ果てた様子で頭を振り、
「そこから」と、俺の布団の丁度頭の左にある入り口のドアを指差しました。
そこでまた俺は(゚д゚)です。
そして全く状況の飲み込めない俺を差し置いて、弟は朝食を食べるべく、さっさと台所に下りて行ってしまいました。
俺も何時までも部屋で一人、上記のような顔をしている訳にも行かないので、とりあえず弟の後を追います。
居間に行くと、弟はカップラーメンを貪りながら、疲れた顔をして母と話をしていました。
母は俺の存在に気付くと、またあの呆れた顔をし、
「ほらみなさい。あんたが開けたから入って来ちゃってた。
まだ居たらどうするの。●●(弟名)も困るし、母さんも困るんだよ」
と、一気に捲し立てました。
母の話による、とどうやら俺はあの時、何かを家の中に入れてしまったようです。
そして弟が言うには、それは夜部屋に入ってきて、夜中じゅう弟の横に居たらしいのです。
ぞっとしました。おばけとかオカルトな方面にじゃありません。家族にです。
俺の目にはおばけなんかは見えません。
見えたのは居ないものを居ると言い、それに魘されキレる壊れた家族でした。
699 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 21:42:16 ID:vgt6Bhzl0
居間を後にした俺は、一人寂しく部屋に篭り、
精神に変調を来たしてしまったに違いない、母と弟の行く末を思いました。
鬱状態のまま夕食の時間を迎え、俺は気まずい心情で飯を食い、また部屋に篭りました。
部屋に篭ってみたものの、
いつもは弟と笑って見ているバラエティー番組も、母につきあって仕方なく見ていたドラマも、
一つも楽しくありません。
家に居るのも哀しくなり、俺は近所のレンタルビデオショップに行きました。
暫くそこで時間を潰しましたが、結局何も借りる気がせず、
入り口横の自販機でお茶だけ買って、その場を後にしました。
家に帰るまでの道が、かなり長く感じられました。それでも暫く歩くと、我が家の明りが見えてきます。
家族はあんなに壊れてしまったのに、こうやって外から眺めると、いつもと何ら変わらない明りを灯していて、
母と弟の言動が脳裏に蘇り、俺はなんだか泣きたくなりました。
最初の方で書いた通り、我が家の庭からは細い道路が伸びています。
俺はそこを歩いていた訳ですが、そこまで来ると、
部屋の明りで暗い外からは、カーテン越しの家具のシルエットとかが見えたりします。
弟は部屋に戻っているようで、俺の部屋からは薄黒い人型のシルエットが見えました。
もう少し歩くと部屋の影はさらに濃く見え、
弟はどうやら着替えをしているようで、上着を着るような動作をしています。
俺は下を向いて歩きました。弟を見たくなかったからです。
街灯に照らされた足元ばかりを見て歩いて、細い道から庭に入りました。足取りが重くなってきます。
窓を見上げると、弟はまだもたもたと服を着ていました。
居間からはテレビの音声と笑い声。母と父、弟が笑っています。
そこで俺は、やっと異変に気付きました。俺に弟は2人いません。
つまり居間に家族が集まっている今、俺の部屋には誰もいない事になるのです。
窓を見上げました。それはまだシルエットだけで服を着ています。いや、服を着るような動作を続けています。
家の中には確かに何かが居たのです。俺は玄関に飛び込みました。
最後に見上げた窓の中では、まだそいつが腕をぶらぶらさせていました。
702 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 21:50:35 ID:vgt6Bhzl0
俺はそのあと弟に付いてきてもらって、部屋を確認しに行きました。
部屋の中では、勿論誰も服を着ていたりはしませんでした。
その日は何事も無く眠れました。と言っても、俺は死ぬほどガクブルしていて、ろくに眠れはしなかったのですが。
そしてつい先日の話です。こんどは母の部屋に来たそうです。
と言っても、金縛りにあったとかそう言うのではなく、鏡に映ったと言うのです。
俺には良く分からないしはっきりと見えもしないのですが、そいつは確実に我が家に今もいます。
何よりも一番不思議なのは、あの服(上着)を着る時のような動作です。
腕をぶらぶらさせながら肩を揺らすあの動作は、思い出しただけで今でもぞっとします。
703 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 21:53:21 ID:M6CtnH6W0
>>702
その幽霊の風貌についてkwsk
705 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 22:02:02 ID:vgt6Bhzl0
>>703
風貌と言うか、シルエットでしか自分は見た事がないのですが、
上着の片方に袖を通して、袖を通した腕の方をぶらぶらさせて、
反対の腕でもう一方の方の襟を掴んで居る感じ。ですかね。
それでもって、いかり肩で左右に揺れてました。
なんて言うか、良くファンタジー系の映画で巨人が出てくるときの、あの歩き方です。
細かな色とか顔?とかは、肝心の我が家の見える人達、教えてくれないのです。
「分からない方が良い」とか言う、あのお決まりの台詞を吐かれます。
706 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 22:04:59 ID:GL6Gxtsb0
それ象さんじゃね?
707 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 22:14:18 ID:M6CtnH6W0
>>705
母親も弟も教えてくれないのか…物凄い気になるな(‘A`)
708 :本当にあった怖い名無し:2006/04/26(水) 22:24:51 ID:vgt6Bhzl0
>>706
象さんであって欲しいと願うのみです。
>>707
母は焦げ茶色いと言っていましたが、俺にはそれが、
着ていた服の色なのか髪の毛の色なのか、はたまた焼け焦げでもした皮膚の色か、
何かなのかは判りませんでした。
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