死ぬ程洒落にならない怖い話 『眼エ返せ』 - 洒落怖本舗

死ぬ程洒落にならない怖い話 『眼エ返せ』

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244 :眼ェ返せ1/3:2006/05/21(日) 11:32:56 ID:wnxPqvo50

16歳の頃でしたでしょうか、初夏で熱帯夜の日、こんな夢を見た。

もやが掛かった河原を歩いていると、人が二人争ってるのを見つけた。

慌てて駆け寄ると女が二人・・・いや、髪が長いが一人は男だった。着流し?に落ち武者みたいな長い髪だ。

そいつが馬乗りになって女性の首を絞めている。

相手は・・・

「母さん!?」

私の母親だった。苦しそうにうめいている。

私が「何やってやがんだ!」と叫ぶと、男はこっちを振り向いた。

片方の目が潰れ、耳と鼻が削ぎとられ、歯も何本か無い。

開いている方の眼で、私をギロリと睨んだ。そしてこう言った。

『カツサダに、カツサダに眼ェとられた。あと1つ、あと1つコイツからもらう』

再び母の方に向き、今度は握りコブシで母の顔面をガンガン殴り始めた。

何とかして母を助けようと思った私は、ハッキリとは覚えてませんが、咄嗟にこう叫んだ。

「眼が欲しいんならウチの眼ェくれてやる!母さん返せ!」

男は殴るのを止め、眼玉の無い顔をこっちに向け、ニヤ~っと笑った。

そして母から手を離し、私に向かって飛び掛って来た。

視界は真っ暗になり、目が覚めたときには汗びっしょりだった。

それだけじゃない。

私は起きる瞬間まで自分の左まぶたを、自分の左手でガリガリガリガリ引っ掻き続けていたのだ。

その痛みで目が覚めたんだ。

その日、眼球がパンパンに腫れ、眼科に行くハメになった。

医師曰く、「失明の心配は無いが、レンズに傷が付いてるので視力低下は免れない」との事だった。

おかげで今も視力は、1.5と0.3である。

245 :眼ェ返せ2/3:2006/05/21(日) 11:35:42 ID:wnxPqvo50

後日、お彼岸か何かで母方の実家に集まる事があり、母はこんな話をした。

「夢の中で知らない男に首を絞められて、死にそうになったんだけど、

 この子の(私)の『お母さん、お母さん!』って声が聞こえて、フッと楽になったんよ」

私は驚き、自分が見た夢の話をした。

母はボロボロ涙を流しながら、祖母は嗚咽でしきりに謝り始めた。「ゴメンなぁ。ゴメンなぁ」って。

そして祖母は、こんな話を始めた。

母方の7、8代前の先祖に、『カツサダ』という男が居て、藩の牢番の職につき、特に拷問の役を任されていた。

残忍な性格の男で、拷問の途中しばしば『事故』と称しては、罪人をいたぶり殺していたそうな。

焼きゴテを当て、

両目を潰し、

爪を剥がし、

歯を抜き、

耳や鼻を削ぎ落とし、

陰茎を切り取って罪人自身に食べさせたり、

それはそれは陰惨な行いだった。

『カツサダ』の死後も大いに祟り、一族内で凶事が続いたため、

本家では毎年一回、地鎮祭というか厄払いみたいなのをやっているらしいんだが、

あの年は、たまたま婆さんが入院してた為に行われなかったのだ。

祖母はその事をしきりに謝り、こう続けた。

祖母が嫁に来た年、爺さんが26の時。

たまたま結納時期と被り、その年もお払いをやらなかったそうだが、爺さんも私と同じような夢を見たのだそうな。

246 :眼ェ返せ3/3:2006/05/21(日) 11:42:27 ID:wnxPqvo50

夢の中、祖父が河原を歩いていると、両目の無い男が現れ、

顔を鷲づかみにし、「カツサダぁ、眼ェ返せ」と、祖父の右眼をえぐり取っていった。

その時期から爺さんは白内障を患い始め、半年の間に右目は失明してしまった。

生前、祖父の白く濁った右眼を何度も見ているので、周知であった。

「『両目の無い男』って言うたよね。ウチの夢では片方あったんやけど」

愚問だった。

婆さんは当然のごとく、

「そりゃ、片一方は爺さんの眼だぁな。

 目ぇ覚めるに男が、『次は左眼を返してもらう』て言うたんだと。

 ○○(私の名前)には悪いことをしたがぁ。

 両目が揃えばもうアレも出ぇへんやろう」

私は震えが止まらなかった。

視界が真っ暗になり、左眼の痛みと共に目覚める瞬間、あの男は確かに私にこう囁いたのだ。

『次は耳を返してもらう』と。

きっとまた、夢の中にあの男は出てくるんだろう。

私の子供か、それとも孫の代か、今度は両目が揃った、耳の無いアイツが。

眼 耳 鼻 歯 命

奪われたモノを全部取り返すまで、あの男は夢に出てくるんだろう。

カツサダの子孫を恨み続けるのだろう。

子孫?

「ハハ・・・ザマぁ見ろ!」

私は独り毒づく。

「私はゲイなんだ」

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