不可解な体験、謎な話 『十時坊主』 - 洒落怖本舗

不可解な体験、謎な話 『十時坊主』

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391 :本当にあった怖い名無し:2007/09/07(金) 22:49:08 ID:R2KqFjTeP

20代の頃の事、群馬生まれの男がバイト先に来た。

そこでの俺は勤務年数長かったので、やって来るバイトに仕事の振り分けや作業の流れの指導など、仕切りをやっていた。

ふと休憩時間に、群馬から流れてきた男の身の上話を聞くようになった。

実家が養蚕をやっていた大きな農家だったこと、

暮らし向きが思わしくなく、家族が散々になってしまったことなどだ。

東京に来て部屋を見つけ、浮き草のようなバイト暮らし。

家族のいない不安などを聞いてやっていた。

そんな彼は幼い頃、夜寝る前に、母親から十時坊主の話を聞かされていたという。

群馬の片田舎の農村は、夜寝るのが早いらしい。

夜間には何もすることがないからだそうだ。

そんな時、何時までも寝ないでいると、母親に注意されたという。

「十時になったら十時坊主が出るよ」

たわいもない脅し文句は、何時までも効果を持続しえなかったのだろう。

その夜は、遅くまで布団に潜って起きていた。

古い柱時計の振り子の音が十時を告げた時だった。

真っ暗な部屋の天井板の一枚がカタリと開き、真っ黒な男がスルスルと柱を伝って下りてきた。

そして、布団の中の彼にこう言った。

「十時になりやしたが、如何致しやしょう?」

396 :本当にあった怖い名無し:2007/09/07(金) 23:15:12 ID:R2KqFjTeP

びっくりした彼は、布団の中で恐怖に震えていたそうだ。

そうしているうちに、男はまたスルスルと柱を上ると、ポッカリ開いた天井板の闇の中に消えていったそうだ。

翌朝、起き出した彼は、昨夜の恐怖の体験を母に尋ねてみたが、

「だからみなさい。寝ない子を天井に連れていくんだよ」と言ったきり、多くを話してくれなかったそうだ。

それから彼は早く寝るようになったのだが、

暫くすると、あの怪物の正体が何だったのか知りたくて仕方なくなってきた。

事ある事に母や祖母に尋ねるのだが、口篭り、一向に要領を得ない。

とうとうその夜、彼は十時坊主に再遭遇するため、寝ずに目を開けていた。

やがて柱時計が十時を告げた。

あの天井の一角をじっと睨んで見ていると、カタリと羽目板が開いた。

するとやはり、十時坊主が柱を伝いスルスルと下りてきた。

そして、間違いなく彼を目がけて近付いて来ると、こう言った。

「十時になりやしたが、如何致しやしょう?」

そこで試しに彼はこう言った、「寿司が食べたい」。

すると十時坊主は、何もせずに再び元の天井に帰って行った。

翌日、不意の来客があり、彼も夕刻には出前の寿司にありついたという…。

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