百物語 『ネイリストをしている女性』 - 洒落怖本舗

百物語 『ネイリストをしている女性』

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312 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:15:11.19 ID:jvZ3IDbu0

友人にネイリストをしている女性がいます。

本来の職業は美容師なのだが、ネイルアートが得意で、現在はそちらの依頼が入ることが多いと言っていました。

今でこそネイルアートをしている人はあまり多くはないそうですが、

一時期は猫も杓子もネイルアート状態で、休む間もなかったと言っていました。

そんな彼女が、まさにネイルアート絶頂の頃、「休みを取ろう」と思ったできごとがあったそうです。

来る日も来る日も誰かの爪を見て、それを整えて行く仕事。

彼女は心底、嫌気が指していました。

「目が疲れて、肩が凝る。自分のしたいのはこんなことなのかって疑問だった」

そんな疲れを押して出勤したある日のこと。

マネキンにつけられているウィッグがずれているのを見て、それを直そうと手を伸ばしたそうです。

ガリッ

鈍い音がして、手の甲には鋭い痛みが走りました。

慌てて手を引くと、そこには4筋の赤い傷が付いていたそうです。

「何かな、と思ってマネキンを見たらさ」

マネキン側頭部、ウィッグの隙間から、薄汚れた手が覗いていたそうです。

「その手、爪に何もつけてなくて、

それを見た瞬間に、怖いとかより先に『どうネイルアートを施そうかな?』って考えてた」

手が音もなく消えた後、彼女は仕事を休むことを決意したと言っていました。

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