ほんのりと怖い話 『土蔵の中』

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450 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/23(水) 11:19:09.16 ID:cgIM9Vh80.net

母方の祖母から聞いた話。

何十年も前のこと。

その日、祖母は珍しく夜更けにふと目が覚めたそうだ。

喉が渇いた。

水を飲もうと台所の灯りをつけたところ、台所から続いている土間の方から「スミマセン、スミマセン」と声が聞こえた。

おそるおそる土間の様子を伺うと、どうやら土間の先から繋がっている土蔵の中に誰かがいるらしい。

声の調子から女性のようだが、蔵の扉には外から閂がかかっているし、扉以外には人が入れるような窓も無い。

祖父を起こそうとも考えたが、一度寝付いたらなかなか起きない人。

相手は女性のようなので、危険はないだろうと思い、祖母は取り敢えず「どなたですか?」と声をかけてみた。

そうすると、蔵からは早口な喋り方で「コチラに迷い込んでしまって、出るに出られなくなってしまいました」と聞こえた。

これは不思議だ。

どうやって入ったのかと問うても、「ナンマンダ、ナンマンダ」と繰り返すばかり。

祖母はかわいそうに思い、出してやろうと閂を上げようとした。が、閂は何故だか動かない。

普段は1人で上げ下げしているのに、その日は重石をかけたように動かなかったのだという。

仕方が無いので「私の力では開きませんので、お父さん(祖父のこと)を呼んできます」と伝えると、

「それには及びません。空が白んでまいりましたので、元来た道を探します」と聞こえた後に、

バタン!バン!と扉を開け閉めするような音がして、その後の倉は静まりかえるだけだったらしい。

祖母が翌朝に目が覚めた時には、あれは夢か幻かじゃないかと思ったそうだ。

しかし、祖父にその事を伝えると、「お前さんは狐にからかわれたんだよ!ガハハ!」と笑った。

なんでも、早口であったり無闇に姿を見せないのは、狐が化けた時の特徴なんだそうな。

家の裏手は小川が流れる森となっており、当時は狐やムジナ、狸やらがいたらしい。

452 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/23(水) 11:21:27.47 ID:cgIM9Vh80.net

しかし祖父には「待てよ、ただの狐に仏教は分からんかも知れんな」と思うところがあったらしく、

蔵の中をくまなく調べてみたところ、床板の下にそれは大きな木箱が埋まっていることに気付いた。

木箱を掘り起こし、恐る恐る開けてみると、中にはさらに黒々と輝く立派な扉。

仏壇だ。

蔵にはそれは立派な仏壇が埋まっていたのだ。

仏間には仏壇を置くための2畳ほどの小部屋があったのだが、置いてある仏壇の大きさに対して置き場が大きすぎた。

掘り返された仏壇は、誂えたように仏間の小部屋に収まった。

「もともとこれを置くための部屋だったんだな」

祖父はそう言った。

古来から何度か戦火に見舞われた土地であったため、

家財である立派な仏壇を隠しておいたまま、いつしか忘れられてしまったのだろう。

それ以降、母方の実家では、裏手の小川のほとりに稲荷の祠を立て、奉っている。

とある大きな地震に遭った際、土蔵も、そこから見つかった立派な仏壇も潰れてしまったが、

幸い家中に怪我人は出なかった。

「お稲荷様のおかげだろうて」とは、当時存命であった祖母の言。

祖父も祖母も既に他界してしまい、事の真偽は確かめようがない。

しかし、稲荷の祠は新調され、今でも家を見守っている。

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