84 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:13:31.19 ID:2yX9zsEM0.net
ヨサック ◆skAMDOCpdQ 様 『お気に入りのワンピース』
知人の祖母・Nさんが若い頃体験した話だ。
Nさんにはお気に入りの服があった。生成り地に小花が少し刺繍された、可愛らしいデザインのワンピース。
Nさんはその日も、お気に入りのワンピースを着て買い物に出かけた。
そして帰宅後はすぐに着替え、ワンピースをハンガーに通して鴨居にかける。湿気を飛ばしてからしまう為だ。
そうしている内に、外出の疲れからか、ついうたた寝をしてしまったのだそうだ。
しばらくして目が覚めたNさんは、ぼんやりとあたりを見回した。
すると、鴨居にかけたワンピースが、風もないのに揺れているではないか。
不思議に思い目をこらすと、裾から見え隠れする物がある。
生成りのワンピースより、もっと白い何か。
それは音もなく降りて来た。
人の爪先であった。
凍りつくNさんをよそに、白い脚はゆっくりと降りて来て、その姿を現して行く。
爪先から甲、くるぶし、ふくらはぎ…
だがいつまでたっても膝は見えず、それが更に不気味だった。
とうとう、力なく垂れた足先が床まで届いた。
その途端、脚全体がぐにゃりと曲がった。まるで飴細工の様だったという。
脚はなおも伸び続け、白く長く、畳に二筋のとぐろを巻いている。
85 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:14:19.52 ID:2yX9zsEM0.net
これは一体何なのか。
恐る恐る視線を上げたNさんの目に飛び込んで来たのは、
今まさに、ワンピースの襟元から出て来ようとしている、真っ黒な頭だった。
Nさんは我に返り、這う様に逃げ出したという。
このワンピースは、結局捨ててしまったそうだ。
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