後味の悪い話 『留守電のメッセージ』 - 洒落怖本舗

後味の悪い話 『留守電のメッセージ』

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51 :留守電 1/3:2008/10/05(日) 21:45:47 ID:jd4a/8EU0

今日ふと思い出した話。

今から10数年前、都内某所にて一人暮らしをはじめて1年経つか経たない頃。

出張を終え、四日ぶりぐらいに自部屋に帰ってきた。

電話機の赤いランプが点滅している。

留守電にメッセージが入ってるらしい。

着替えながら聞こうと、ネクタイを解きながら再生ボタンを押した。

「メッセージは5件です」

件数を告げると、電話機が最初のメッセージへテープを巻き戻す。

「○月○日、午後1時15分です」

・・・昨日か、続けてメッセージが流れてきた。

『もしもし、“たかし”かい?』

女性だ。一瞬母親かと思ったが違う。

声の感じは60代位、聞いたことの無い声だ。

なにより俺は“たかし”じゃない。

『今○○駅に着きました。ちょっと早く着いちゃったねぇ(笑)。

 北口の改札の前で待ってるので迎えに来てください』

1件目のメッセージはここで切れた。

・・・どうやら間違い電話らしい。

“たかし”ってのは息子なのか?

ずいぶん楽しそうな声だったな・・・。

若干訛りがあった。

地方から上京してきた息子にでも会いに来たのだろうか?

ここでふと嫌な予感がした。

メッセージが5件・・・。

52 :留守電 2/3:2008/10/05(日) 21:46:41 ID:jd4a/8EU0

2件目のメッセージが流れ出した。

「○月○日午後1時30分です」

1件目のメッセージからそんなに経ってない。

『もしもし?お母さんです。まだ出てないかな?

 お母さん今日朝ごはん食べて来なかったからお腹空いちゃったのよ(笑)』

やっぱりだ・・・、間違いに気づいてない。

『駅前の△△ってところでご飯食べてるから、もし改札に居なかったらそこを覗いてみてね』

しかも待ち合わせ場所を移動している…。

3件目のメッセージ。

「○月○日午後2時40分です」

『もしもし、お母さんです』

若干声が沈んでいる。

『待ち合わせの時間から随分過ぎたけど・・・ひょっとして入れ違いになっちゃったかねぇ?

 お母さんは今改札の前に居ます。ごめんね・・・』

あぁ、やっぱり会えてない。

4件目のメッセージ。

「○月○日午後5時00分です」

『もしもし…』

なんか泣きそうな声になっている。

『ごめんね。お母さん突然たかしの家に遊びに行きたなんて言ったから・・・

 ひょっとして迷惑だったかな?

 もし来れない理由があるなら、さっきの△△って店に電話してさい。

 電話番号は・・・です。7時まで待ってます』

・・・。

53 :留守電 3/3:2008/10/05(日) 21:47:44 ID:jd4a/8EU0

5件目のメッセージ。

「○月○日午後6時50分です」

『もしもし・・・、もう帰らないと新幹線なくなっちゃうから帰るね・・・。

 ごめんね、やっぱりいきなり来たら迷惑だったね、ごめんね。

 よしこ(嫁?)さんとたかお(孫?)にもよろしくね。体に気をつけてね。

 たまには帰ってきてね、じゃあね』

・・・帰っちゃったよ。

単純にすれ違いなら後から笑い話になりそうなもんだが、

本当に“たかし”がすっぽかしたって考え出したら何か凹んでしまった。

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