422 :本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 00:06:02 ID:LySk9yB60
小学2年生のときの話。
オレはその日、学校帰りに同じクラスのS君と遊んでいた。
そのS君は特別仲がいいわけではなかったけど、
何回かは彼の家にも遊びに行ったし、オレの家に招いたこともある、親しい友人のひとりだった。
二人は、ある人けのない、古いアパートの敷地内にいた。
アパートの一階部分の、横並びのドアの前。
そこ敷かれたコンクリの歩道の上に座り込み、何かの遊びをしていた。
(何をしていたかは、はっきり思い出せず)
しかし、しばらくするとオレは、アパートの二階の部分に何かあるような気がし出してきて、
それが気になって仕方なくなってきた。
そんな中、S君が「うえ(二階)…なんだろう?」とポツリと言い出した。
へんな気分がしたのは俺だけではなく、彼もその得体の知れない雰囲気を感じ取っていたのだ。
二人ともどうしても二階が気になり、S君は「ちょっと見に行ってみよう」と言い出して立ち上がった。
S君がカンカンと音を立てながら、壁つたいに設けられた鉄の階段を登っていき、その後をオレがついて行く。
423 :本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 00:06:41 ID:LySk9yB60
S君が階段を登りきって、二階の廊下を曲がって見えなくなったその瞬間、オレは階段の途中で立ち止まってしまった。
特に異変が起こったというわけでもないが、オレの体の中で、警報ベルのようなものが激しく鳴り響いた。
『立ち止まれ!』と、オレ自身の体の中の何かが、強く命じてくるような感じだ。
しばらく、そうして階段の途中で立ち止まったままだったが、S君が戻ってこない。声もしない。
オレはやっぱり二階に行こうかと、階段を再び登りだそうとしたが、体が動かない。
金縛りのような身体的感覚ではなく、『絶対にそれ以上進んじゃダメだ!!』という、強い精神的な感覚に襲われた。
オレは、怖くなってそのままS君のことを無視して家に帰ってしまった。
次の日、学校にS君は来なかった。
424 :本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 00:07:23 ID:LySk9yB60
オレは一晩たって恐さが薄れてしまったし、子供の短絡した頭脳。
「風邪か何かで休んだんだろう」程度にしか、そのときは考えていなかった。
しかし、1週間たってもS君は来ない。
さすがにどうしたんだろうか?と気になり、クラスメートに「Sどうしたんだろうね?」と聞いてみた。
だが聞かれたクラスメートは、「Sって誰?」と不思議な顔をした。
誰に聞いても同じで、S君のことなど知らないという。
そういえば、担任も休んでいるににもかかわらず、S君のことなど口にしていなし、
S君が座っていた机には他の奴が座っている。
家に帰って、母親に「Sが学校に来なくなったんだよ」と話してみたが、母親も「誰なのその子?」とという表情。
「前に家に連れてきたでしょ?」と言っても、まったく覚えていないという。
小学生のオレは時間の経過とともに、大の仲良しというわけでもなかったS君のことなど次第に忘れていき、
そのまま小学校を卒業。
425 :本当にあった怖い名無し:2006/08/06(日) 00:08:52 ID:LySk9yB60
しかし、中学生になったあるとき、ふとS君のことを思い出した。
「彼、どうしたんだろう?」と気になり出し、何人かの友人にS君のことを聞いてみたが、やはり誰も知らない。
問題のアパートはもう取り壊されて、その一帯はダンボール工場の倉庫になっていた。
遊びに行ったことのあるS君の家を、見に行ってみようと思ったが、
途中までの道筋は思い出せても、どうしても詳細な位置がわからない。
家にあった小学校の卒業アルバムも見てみたが、巻末の住所録にもS君の名前はない。
どうしようもない不安に駆られ、オレの家のアルバムも引っ張り出し、小学校の頃の写真を探索。
でも、そこにもS君の姿はない。
小学2年生の春に行った、森林公園の遠足の集合写真にもS君がいない。
その遠足では、森林公園の中の立ち入り禁止の区域にS君ら数人と入って、
担任にこっぴどく怒られた記憶が確かにあったので、
間違いなくS君はこの集合写真にいるはずなのだけど・・・。
そして、現在。これまでの間、S君のことを時々思い出すけど、いまでもまったく不可解でならない。
確かに、オレの記憶の中にはS君は実在した。
顔も覚えているし、数回遊んだことも、現実の世界の出来事だったと断言できる。
いったい、S君はどこに行ってしまったのか?
みんなの中から、何故S君の記憶が消滅してしまったのだろう・・・
長文スマソ。
でも、いまでも本当に、このことが恐ろしくて仕方がない。
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