百物語 『目の端』 - 洒落怖本舗

百物語 『目の端』

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814 :本当にあった怖い名無し:2005/10/03(月) 19:05:16 ID:g3ICIiOP0

目の端をさ、なにかがチラチラとすることってあるよね。

なんだかよくわからないんだけど。

川崎の私鉄の下り方面のホーム、降りる駅の階段が後の方だから、そっちの後の方のベンチに座っていたときのこと。

珍しく遅くなって夜11時頃になってしまっていた。

電車がくるまで5分くらいかなあ、とか思いながら背をまるめて地面を見ていた。

すると、革靴のくるぶしから先、灰色のズボンのすそが目の端に見えた。

なぜかちょっと前の黄色い線のあたりを行ったり来たりしていた。

ゆっくりめに行ったり来たり。何か迷っているように行ったり来たり。

ふっと顔をあげてみると、誰もいない。革靴もない。

あれっと思ったけど、疲れてたから見間違いと思った。

また背をまるめて地面を見ていると、また確かに靴がチラっと見えた。ゆっくりと左から右へ。

えっと思って、また顔を上げるても誰もいない。

一瞬、背筋が凍り付いた。

すぐに立ち上がって先頭車両のあたりのホームまで行って、立ったまま電車を待った。たぶん、怖い顔をしていたと思う。

電車がきて下を向いたまま乗り込んだ。

あの靴は何を迷っていたんだろうか。

決心がついたら立ち止まるんだろうか。

俺はそれがとても怖い。

立ち止まったらどうするんだろう。

まさか線路の方を向いて電車がきたら・・・俺は本当にそれが怖い。

それとも事はすでに済んでしまっているんだろうか。

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