百物語スレ 『お宮参り』 - 洒落怖本舗

百物語スレ 『お宮参り』

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107 :小麦焼き:2000/08/17(木) 01:56
友人から聞いた、そのまた友人の話。(ご本人からワープロ打ちしたモノを頂きましたが、長いのではしょります)

その三。『お宮参り』
Sさんの村では重病人が出ると、
村人が寄り合って(寄り合い=集まること)夜、神社にお参りし回復祈願をするという風習がある。

10年近くも前の真冬の出来事。
村人の一人が手術を受けることとなり、その晩 村でお宮参りをすることとなった。
その日、仕事で遅くなったSさんが、最終バスで村に帰り着いた頃には、辺りはすでに真っ暗になっていた。
家に向かって歩き始めたSさんは、通りの向こうから20~30人位の集団がこちらに向かって近付いて来るのに気がついた。
朝、母親からお宮参りがあることを聞いていたSさんは、特に不審と思わず、
自宅と社への道が途中まで一緒ということもあり、立ち止まって列の後ろについた。
(ただこの時、何となくではあるが、列の先頭を歩きたくないと思ったそうだ)
途中から列に加わったSさんに、誰も注意を払おうとしない。
集団は2列となり、昼間に降り積もった雪の中をゆっくりと進んで行った。
いつもならば、世間話の一つでもしながらにぎやかく進んでいくのに、
この日に限って皆うなだれ、小さな声でお経のようなもの呟いている。
あまりの静かさに、Sさんは足音を立てるのすら憚られ、妙に息苦しい雰囲気を感じた。
お宮参りには母も参加しているはず。
Sさんは、最後尾から母親の姿を探してみた。が、先頭にでもいるのか見あたらない。
周りの人も見覚えはあるのだが、どこの誰なのか判らない、それに何か引っ掛かる。

そのうち、列は社と家との分かれ道にさしかかった。
一言挨拶してこの列から離れるか。
しかし、Sさんは声を発してこの人達の注意を自分に向けさせるのは、何故か怖ろしいことのように感じたという。
このままお宮までついて行って、母と帰ってくるか…などと考えていると、
Sさんの斜め前を歩いていたおばあさんが急に振り向き、人差し指を口に当て、
無言のまま『しーぃ…(静かに)』というかっこをした。
そして、列から離れるよう手振りで示した。
そのままSさんはゆっくり列から離れ、その行列が社の方角に進んで行くのを見送った。
列から離れる時、おばあさんはSさんに向かってにっこり微笑み、Sさんも懐かしさを感じながら会釈した。
そこではじめてSさんは、誰も足音を立てていなかった事、
誰も懐中電灯を持っていなかったのに、行列全体がぼんやりと薄明るかったことに気がついたという。

家に帰り着いたSさんは、お宮参りに参加しているはずの母親が居たことに驚く。
更に驚く事に、回復祈願の当人が手術中に死亡した為、お宮参りは中止になったというのだ。
お宮参りはなかった。では、私が出会ったあの行列は何だったのか?
そこまで考えた時、Sさんはあっと声を上げた。
歩いていた最中に感じた引っ掛かたもの。
あの行列の真ん中辺りにいたのは、この夜手術中に亡くなった人ではないか!
そして、Sさんにこっそり列から離れるように指示してくれたおばあさんは、
Sさんが子供の頃、Sさんを孫のように可愛がってくれた近所のおばあさん(故人)だったそうな。

そして、あの行列が向かっていった先には、たしかに神社もあるが村の墓地もあるという。

108 :名無しさん@お腹いっぱい。:2000/08/17(木) 03:13
>小麦焼きさん
西洋の話で似たようなのを知ってます。集合無意識ってヤツですかね(笑)
こちらのほうは、早朝教会にミサに行くといつもと雰囲気が違ってておかしい・・・
横には亡くなったはずの知り合いがいて、小声で、
「これは死人のミサだ。最後までいるとあぶない。マントをゆったりと羽織ってから、ミサが終わらないうちに逃げるように」
と忠告される。
急いでその場を離れて、教会の外に出て気づくと、マントが複数の手にズタズタに引き裂かれてる・・・ってヤツです。

関連話:『異様な一団』

コメント

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