百物語スレ 『梅干し』 - 洒落怖本舗

百物語スレ 『梅干し』

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104 :0202◆7fx3VkTePk :2015/02/15(日)00:57:07 ID:v8H ×
第36話目 0202◆7fx3VkTePk

梅干し

友人の祖母は半分自給自足をしている田舎暮らしの人のため、漬物や干し野菜など、保存食をよく作るそうだ。
けれど一つだけ作らないものがある。それは梅干しだ。
祖母の畑には梅の木があり、毎年それなりに実をつける。それを使って梅酒は作るのに。

「どうしてお婆ちゃんは梅干しだけ作らないんだろ?」
「昔は作っていたのよ」
ある時ふと漏らした友人の疑問に、彼女の母親は複雑な表情で答えた。
そうしてその理由を教えてくれた。
「お婆ちゃんの梅干しはとてもおいしかったんだけどね。
 私が子供の時に、その年作った梅干しが全部カビちゃったことがあったの。
 お婆ちゃんは『ああ、また・・・』って苦しそうな顔してね。
 上手なお婆ちゃんが失敗するのも珍しいとは思ったんだけど、
 その時は、なんのことだろう?っていうくらいだったかな。
 それから一か月しないうちに近親者が突然亡くなって。次の年から梅干し作らなくなって。
 理由を聞いたら、悲しそうな顔して笑うだけ。
 でもその顔を見た時に、多分前にも梅干しがカビた時に誰か死んだんだって、子供ながらになんとなく理解したわ」
「生ものだし偶然でしょ?」
友人がそう問いかけると、母親は苦笑して答えた。
「二度あることは三度あるなのか、本当に偶然かどうか確かめるのって、結構勇気がいると思うけど?」

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