死ぬ程洒落にならない怖い話 『足跡の主は』 - 洒落怖本舗

死ぬ程洒落にならない怖い話 『足跡の主は』

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946 :1/6:2006/06/27(火) 00:36:45 ID:xKFPGEQe0

東京に住んでいた頃の話

中野で賃貸住宅を探していた。

結婚したばかりの妻がいて、同居人可のところを探す必要がある。

更にペット(変に思うかも知れんが、ホンモノの鷹)がいるので、ペット可マンションを捜さなければなれず、

しかもペットがペットなので、部屋探しは難航していた。

そんな中、ある不動産屋でペットの件を相談したら、

色々探す中はっと気づいたように、「ここ、どうですか?」と聞いてきた。

「鷹、いいんですか?」

「ええ、大家さんはいいって言ってます」

「鳥だからけっこう汚れますよ?」

「大丈夫です」

「同居人は」

「狭くても結構でしたら」

6畳とキッチン、ユニットバスのワンルームで5万円、私鉄の駅まで3分の好立地。

ワンルームとはいえ、これで同居人、ペット可は本当かと疑ったが、どうも本当らしい。

妻と一緒に見に行くことになった。

947 :2/6:2006/06/27(火) 00:37:45 ID:xKFPGEQe0

場所は全く問題なく、建物も異常ない。

以前に安いアパートを探しているときに(この時はペット可ではない)、

裏がすぐ墓場という事もあったが、そんなことも無い。

至って普通の建物だった。コンクリート3階建ての2階。

「ここってやっぱり、みんな犬とか猫とか飼ってますよね?」

鷹を飼ってるので、傷つけても傷つけられても困る。

一応、確認してみると、

「いえ?誰も」

「え?ペット可じゃないんですか?」

「ええ、本当は違うんですけど・・・」

「大丈夫なんですか?黙って飼ってて、見つかったら出てけじゃ困るよ?」

以前に、そういうことがあった。

「ええ、大家さんはいいって言ってます」

なんだかよくわからないが、良いって言ってるんならいいか・・・

2階に上がると、廊下を挟んで両側向かい合わせに部屋が並んでいる。

廊下を灯す室内灯がやや暗く感じた。

ん?

廊下に何か・・・?足跡か?

不動産屋の若い男の説明を他所に、それに釘付けになった。

948 :3/6:2006/06/27(火) 00:38:20 ID:xKFPGEQe0

緑のフロアタイルに、裸足の油が付いたような足跡が残っている。

それだけなら特に不思議ではない。しかし、足跡の形と位置がおかしい。

説明が難しい。全体は女の爪先立ちに最も似ているが、指の数が親指も含め4本。数が合わない。

犬でもない、猫でもない。その他知っている限りのあらゆる生き物とも異なる。

人間の女の足で指が足りない。それ以外考えられない。

それがちょうど踵を浮かせて、更に踵方向を合わせる形で1セット。

これが交互に前後が逆になりながら、奥の部屋へと続いていた。

目が点になった。

もともと、鷹以外にもいろんな動物を扱う仕事をしていたので、動物にはけっこう詳しい。

しかし、どんなに頭を捻っても、この足跡の答えが見つからない。

しかし、結局安さと便利さには勝てない。

これから先、すぐにペット可の物件が見つかるかも分からない。

そもそも、これまでに相当の時間が掛かっている。

今のアパートもすぐ出なくてはならない。

ここならベランダも広く、鷹を置くスペースも申し分ない。

結局、即決という形になった。

949 :4/6:2006/06/27(火) 00:38:59 ID:xKFPGEQe0

そのマンションに越した初日の夜、異変があった。

電灯を消すと、3階で走り回る音がする。

3階は以前大家が住んでいたが、今は誰も住んでいないはず。

歩幅と走り方などから、子供の足音のようだ。

なぜ大家がここを出て、近くに移り住んだのか知りえない。何かがあったのか・・・

電気をつけると音は静まる。消すと音がする。

その日はそれで終わった。

その後、鷹を連れてくると、異様なことは起こらなくなった。

しばらく住んでいると、幾つかわかってきた。

まず、住人はうちの部屋を含め、3部屋しか入っていない。

うちと、向かいの部屋に若者の男が一人。

音楽をやっているようで、たまにロックが聞こえる。

一番奥、足跡が続いている部屋に中年の男が一人。

特におかしいところも無い、普通のおじさんだ。帰らない日が多い。

部屋数は6部屋あるが、残りは会社の倉庫や空き部屋の様子。

足跡は定期的についている。

というより、月に何度か業者が掃除に来るので、そのときに足跡は消え、いつの間にかまたついている。

いつしか、足跡があっても特に気にならなくなっていた。

950 :5/6:2006/06/27(火) 00:41:30 ID:xKFPGEQe0

ある冬の日、鷹の訓練の為、

(『鷹狩り』というものをご存知であろうか?その訓練のなかに、暗い部屋で手に乗せるというものがある)

深夜の2時ごろ、玄関口で鷹を手に乗せていた。

六畳間は妻が寝ているし、外は寒いので玄関口で座って訓練する。

廊下の電灯は、防犯のために一日中点いているので、ドアののぞき窓から小さな光が差し込んでいる。

それ以外はほとんど闇の中だった。

ふと見ると、鷹がドアのほうを凝視している。

鳥は暗い中では何も見えないので、普通はじっとしているし、それが訓練になるのだが、其の時は違った。

一点、ドアに向かって睨み付けるように集中している。

そして、腰を落とし口をやや開きながら、威嚇の姿勢をとり始めた。

これは何かある・・・と思った刹那、のぞき窓の光がすうっと消えた。

それまでに何度かこの訓練は続けていたので、

深夜に若者が帰ってきた足音や光の加減で、それが人間というのは判断できた。

鷹もちらりと一瞥することはあっても、凝視などしたことは無い。

これは違うぞ。あれだ。足跡のやつだ・・・

直感的にそう感じた。

951 :6/6:2006/06/27(火) 00:42:38 ID:xKFPGEQe0

光の動きの様子から、部屋の前でじっとしているのではないことが分かる。

移動している。音は無い。

感覚としては、ふすまくらいの高さのぞろぞろとしたものが、廊下を通っている感じ。

その証拠に、鷹の頭も少しづつ動く。

冷や汗が噴出す。背筋が凍り続ける。見たい。いや、それはいけないと、鷹の様子が知らせる。

緊張の時間が続く・・・

ふっと、光が戻った。暫くは動けなかった。

鷹も落ち着いた頃、ほんの少しだけドアを開けて廊下を見た。

最後に見たときには無かったはずの足跡が、生々しくそこにあった。

後日、霊が見えると自称する数名にこの話をすると、みな一様に「もう話さないでくれ」と話を遮られた。

その後半年ほどそこに住んで、田舎に引っ越した。

あの足跡の主はなんだったのか?何の為にあの部屋に出入りしていたのか?

その部屋の中年の男は一体・・・今考えても、背筋が凍る。

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