677 :本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 20:00:30 ID:jcxa1rr90
チキン能力者の話しを書いた者ですが、この前端折った廃病院の話しを最後に一つ。
『落ち武者』事件から数週間後、ウラはかなり周りから気味悪がられていて、クラスでも浮いてしまっていた。
その上『落ち武者』事件を聞いて面白がった先輩グループに絡れ、廃病院に呼び出されていたのだ。
「行きたくないけど、行かなきゃ虐められる」と泣いていたウラを見て、俺は本当に申し訳なく思った。
助ける事は出来ないが、せめて廃病院に一緒に行ってやる事にしたのだ。
罪悪感があるとは言え、そんなに仲よくない奴に、そこまでしてやるほどいい奴では無かった。
けど『落ち武者』事件の謎が未だに引っ掛かっていた俺とコウジは、純粋にウラの能力が気になった。
先輩達を含め男女10人程が、廃病院に集まった。
散々病院内を歩かされたが何も出ず、散々嫌みを言われた後、
女性を怖がらせていちゃつきたかったのか、急に百物語をする事になった。
ここからが大変…
百物語が進むにつれて、ウラの顔色が悪くなって言った。
マズイなと思っていたとき、「きゃー」と女の子が突然叫んだ。
振り向くと、無数の手が壁から生えていたのだ。
一瞬で消えたのだが、ソレをきっかけに、コウジ以外皆散り散りに逃げてしまった。
コウジも逃げたかったんだろうが、腰を抜かした俺に腕を掴まれ逃げれなかったのだろう。
これじゃあ『落ち武者』の時と一緒だ…と思ったが、
ビビってしまった俺は、謎なんかより、この病院から逃げ出す事しか考えられ無かった。
コウジと共に窓から逃げようとしたが何故か開かない。割ろうとしてもガラスが割れない。
しかも、どこからか先輩達の悲鳴が聞こえて来ていた。
パニックになりオロオロしていると、
コウジが「かあちゃん!?かあちゃんがいる!?」と突然言い出した。
アホだからとうとう幻覚が見えたか、と呆れてコウジを見ると、本当にコウジの毋(と思われるおばさんが)歩いていた…
しかも、そのまま消えてしまった。
もちろんコウジの母は健在。(合った事は無いが)
「何で!?今の見ただろ?かあちゃん死んだのか?」
隣でコウジがパニクっていたが、俺は逆にコウジ毋のおかげで、さっきまでの恐怖心はすっかり無くなっていた。
678 :本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 20:02:04 ID:jcxa1rr90
「コウジ。お前のかあちゃんはパンチパーマで、ピンクのシャツにスーパー笹井の袋もってたよな?」
「はぁ?お前何見てたんだよ。俺のかあちゃんそんなダサくねぇよ」
コウジの言葉で確信した。
コウジはさっき百物語で、かあちゃんの話をしていた。(百物語の意味を知らなかったから、そしてアホだから)
無数の手も、入ったら出られない廃病院の話も、誰かがしていた。
コレがウラが思い込みで産んだ幻覚なら、『落ち武者』事件の話も納得がいく。
答えが分れば後は簡単だった。
コウジを落ち着かせて説明し、何とかウラを探し出した。
その間もウラの幻覚達に遭遇したが、
外もまだ明るかったし、落ち着いていればイメージの幻覚は、不鮮明でCGを見ている感覚になれた。
ウラを見つけたが、パニック状態のウラの思い込みを消すのはむずかしかったため、俺とコウジは嘘をついた。
「おれのじいちゃん、この病院で死んだんだけど、さっき現れて俺達を助けてくれたんだ」
「ヒロシ(俺)のじいちゃんが、ウラの所まで案内してくれたんだぜ!」
「じいちゃんが今、この病院の呪をねじ伏せてくれている!!」
「今だ!早く逃げるんだ」
と適当な演技でウラを信じ込ませ後は、簡単に窓から出る事ができた。
後日。
それからウラは、また気味悪がられたり、虐めに合うのでは?と思っていたが、
逆にここまで来ると大物扱いされ、先輩にも一目置かれていた。
他校の生徒にいたっては、ウラの名は教祖的になっていた。
ウラはと言うと、「先輩の嫌がらせにつき合ってくれた上に霊から助け出してくれた」と、
俺とコウジに懐いてしまい、どこに行くにもくっ付いて来る様になった。
その為、俺やコウジは結構でかい顔ができる様になった。
ウラや周りにコノ能力の正体を言わなかったのは、でかい顔が出来なくなると言うのもあったが、もっと大きなワケがあった。
その話は長くなるので書くのはやめます、では。
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