百物語 『夜の墓地』 - 洒落怖本舗

百物語 『夜の墓地』

スポンサーリンク
スポンサーリンク

202 :可部 ◆7vU/OMinzs :2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:f8yflt3K0

私が子供の頃住んでた家の近くのお寺は、西側が墓地になっていた。

夜になると寺は閉まるが、墓地には裏手の壊れた垣根からいつでも入る事ができたため、

時々、夜の墓地に入って肝だめしをする者もいた。

私が小学生の頃、友達と一緒に夜の9時ごろそのお寺の墓地に探検に行った。

初めは怖かったが、特に何も出てこないので、調子に乗ってワイワイ騒いでいたら、

寺の裏から一人のお坊さんが出てきて注意してきた。

友達がお坊さんに「お化けとか出ないの?」と馬鹿な事を言ってしまったが、お坊さんは、

「そんなものはおらん。わしは昔からこの墓地を管理しているけど、そんなものは一度だって見た事はない」と言う。

続けて、

「それよりも夜によく人が入って来るから困る。この前もひどいのがいた。

 先週、見回ってたら、そこの灯籠の所に気配がしてな、

 何かと思ったら、夜中に誰かが灯籠に抱きついとったんだよ。

 わしは叱ってやろうと思い、灯籠の後ろに回ったてみたら、

 体だけで顔が見えなくて、おかしいと思ってもう一度正面に回ったら、そいつ灯籠の穴から顔だけ出してた。

 しかも気味の悪いくらいのニコニコ顔してたんだよ。

 頭のおかしい浮浪者みたいでな、放っといたらいつの間にかどこかへ行ってしまったよ。

 お前達もそんなおかしなやつに会わんうちに早く帰りなさい」

203 :可部 ◆7vU/OMinzs :2013/08/24(土) NY:AN:NY.AN ID:f8yflt3K0

私はそこにあった灯籠を見ましたが、穴はどう見ても直径が20センチもないもので、

ここから顔を出せる人間がいるだろうか?出したとしても今度は首が長すぎる。

どう考えてもそれは頭のおかしい浮浪者なんかじゃなくて、もっと別の、恐ろしいモノだったんじゃないかと思いましたが、

頭のおかしい浮浪者だと平然と決めつけるお坊さんの方に、逆にコワい物を感じた私たちは、早々に退散したのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました