ほんのりと怖い話 『人形と妹』 - 洒落怖本舗

ほんのりと怖い話 『人形と妹』

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15 :味ポン :2001/08/13(月) 22:39

以前にカキコした者ですがもう一つ、20年ほど前の話ですが…。

私はオカ板でもお馴染みの例の生き人形の生放送を見ました。

スタジオがパニックになったとかは覚えていませんが、人形の顔などは今でもはっきり脳裏に焼き付いています。

その当時私は小学校高学年で妹は低学年。

親は留守にしていて、2人でその番組を見てしまったのです。

兎に角怖くて怖くて、私も妹も夜は親と寝るようになったほどでした。

恐怖も幾分か薄らいできたある夜、それは起こりました。

私が眠っていると、真夜中に誰かが物凄い勢いで階段を降りて行きます。

足音で誰かは解るのですが、その時誰が下へ行ったのか全く解りません。

夢うつつで『誰かなー』と考えていると、

ガタン、ガサガサ、ピシッ

ガタン、ガサガサ、ピシッ

階下にいる人物が引き出しを開閉しているようです。

『ああ、お父さんかな』

そう思い、そのまま寝てしまいました。

16 :味ポン :2001/08/13(月) 22:39

翌日、親に聞いてみると、そんな事はしていないと言うのです。

特に母親は音に敏感な人で、少しの物音ですぐ目を覚ます性質でしたから、

私が寝ぼけていたという事で、その話は落ち着いてしまいました。

ところが、その出来事は何度も繰り返し起こったのです。

その度に親に訴えても取り合って貰えず、逆に怒られる始末です。

私は悔しくて、誰の仕業か絶対突き止めてやると決心しました。

その夜の事、階段を降りる音で目が覚めました。

いつもと同じ様にガタガタ物音がしています。

少し怖かったのですが、恐怖よりも親に対する怒りの方が強く、私は足音を忍ばせて下へ降りていきました。

階段の電気はいつも付けっ放しだったので大丈夫でしたが、下は真っ暗でした。

ガタン、ガサガサ、ピシッ

暗闇の中で音だけが響き渡ります。

何も見えない闇の中で、一体何をしていると言うのでしょうか。

確かに誰かいるのですが尋常ではありません。

体が凍りつきましたが、部屋に逃げ帰るとまた親に理不尽に扱われます。

恐怖と戦いながら、意を決して居間の電気をつけました。

17 :味ポン :2001/08/13(月) 22:40

そこには、赤い服を着たおかっぱ頭の女の子がいました。

箪笥の引き出しを開け、断固とした態度で何かを探しています。

それは、半目を開け殆ど白目状態の奇妙な目つきをした妹だったのです。

妹は話し掛けても反応なく、無言で次々に引き出しを開け、取り憑かれたようにただ懸命に何かを探しているのでした。

私は大急ぎで親を起こし、後は親にまかせました。

妹は病院で夢遊病だと診断されました。

でも私には、あの人形が妹に乗り移ったとしか思えませんでした。

背格好に髪型、赤い服(実際はパジャマ)、本当にそっくりだったのです。

妹を守りたい気持ちから、おかっぱ頭をショートにするように薦め、

彼女のお気に入りだった赤いパジャマを、着れない様に隠してしまいました。

人形と妹の共通点を排除した後、それは二度と起こらなくなったのです。

今思うとただの夢遊病の話ですが、子供の頃のほんのり怖い体験でした。

本当は妹というのは私なんです。

人形の記憶はありますが、夢遊病とかは全然覚えていません。

姉はよっぽど怖かったのか、

未だに「赤いの着て寝たらあかんよ」とか、「髪の毛もっと伸ばすか短くするかどっちかにしな」と口煩く言います。

お盆なので実家に帰って来ている姉と話す内、この話題になったので書いてみました。

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