死ぬ程洒落にならない怖い話 『墓の中の家』 - 洒落怖本舗

死ぬ程洒落にならない怖い話 『墓の中の家』

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606 :1:2005/08/22(月) 18:29:11 ID:uu4132wM0

私の生まれ育った実家は、お墓の中にありました。とはいっても、お寺さんではありません。

私の実家は、玄関に入ると中央に廊下があり、左右に部屋が並んでいます。

玄関から見て右手、建物の北側が墓地であり、一番奥の部屋が当時の私の部屋です。

窓の外には、無縁仏の放置された墓石がごろごろしており、窓から手を伸ばせば、それに触れることが出来ました。

庭の造成でユンボが入り、庭を掘り起こした時、数々の墓石が出てきた事もありました。

またある日、飼い犬が骨を掘り当て、それが人骨のように大きかったので、

お寺の住職に見せたところ、紛れも無く人骨で、警察も介入してきました。

骨はその昔、この地に土葬された方のものだったらしく、事件性はありませんでした。

607 :2:2005/08/22(月) 18:34:34 ID:uu4132wM0

しかしながら私の家族は、そこに家を建ててからというもの、数々の事件や事故が発生しました。

今現在、私の家族はバラバラに生活しています。

前置きが長くなりましたが、これは私の家族が皆で生活していた時に起きた、不思議な体験です。

私が中学に入学して間もない頃、弟が自宅前の路上で交通事故に遭いました。

その2年前にも私自身が交通事故に遭っていて、生死をさまよった事があるため、

両親はことのほか心配して、その日はつきっきりになったのです。

そして私は、妹の面倒見るように言われ、自宅で帰りを待っていました。

608 :3:2005/08/22(月) 18:41:01 ID:uu4132wM0

帰ってきた妹を早々に寝かしつけ、自分の部屋でマンガ本を読んでいると、

異常なまでの眠気に襲われ、そのまま寝てしまったのです。

どのくらい眠ったでしょうか?

気がついて起きてみると、時計の針は午前2時を回っていました。

両親の部屋を覗いてみましたが、誰も居ません。

「まだ帰ってないんだ・・弟は大丈夫かな・・・」

そう思って部屋に戻り、汗ばんだ服を脱ぎTシャツに着替え、トイレに行きました。

先にも話したとおり、私の実家は建物の中央に廊下があります。

トイレは玄関の横北東の位置にあり、窓からはやはりお墓が見えます。

廊下を歩いていくと、後ろで誰かが横切った錯覚に捉われました。

振り返ってみましたが誰も居ません。

さっさと用を足し部屋に戻りましたが、誰かが家の中に居るような気配です。

少し怖くなった私は、部屋の電気を消し、布団の中に潜り込みました。

するといきなり、明かりがついたような感じが・・・

えっ?と思い、布団から顔を出すと真っ暗!

その直後、体が硬直して動かなくなったのです。

609 :4:2005/08/22(月) 18:57:15 ID:uu4132wM0

金縛りだ!

あせってもがきましたが、身体は全然動かせません。わずかに目が動かせるだけでした。

いつの間にか、私の部屋の北側の窓の前に、男の人が立ってました。

軍服姿で、腰には刀を差していました。

怖いながらも見ると、その男の人の顔には見覚えが無く、

その眼球全体が褐色がかっていて、顔の色は血の気が無く、青っぽいねずみ色をしていました。

唇の色と肌の色とは同じで、皺の一本一本が深く多かったのを覚えています。

じっとこちらを見るその男の人には腕が無く、下半身もおぼろで分かりません。

ただ、その褐色の眼球だけが印象的でした。

男の人は、何も喋らずこっちを見ていただけでしたが、

しばらくして、音も無く私の足元まで近づいて来たのです。

「助けて・・・お父さん・・・お母さん」

何度も叫ぼうとしましたが、声を出すことが出来ません。

そのうちどこからとも無く、「ここに住むな!」「人形が邪魔だ!」と声が聞こえてきました。

男の人の口は動いているのですが、声は別の所から聞こえてきます。

また、「ここに住むな!」「人形が邪魔だ!」と繰り返し聞こえる。

その声とは別の、違う声も聞こえてきました。

明らかに女の人と思われる声。

その声は、男の人の左側のにある、部屋の隅から聞こえてきます。

あまりに小さい声でしたので、何を言っているかは聞き取れなかったのですが、

その声が聞こえたとたん、私のまぶたは動くようになり、体も動かせるようになったので、

急いで布団をかぶりました。

「男の人はまだいるんだろうか?」

震えが止まらず、怖くて怖くて布団から顔を出せません。

610 :5:2005/08/22(月) 19:15:40 ID:uu4132wM0

どのくらいたったでしょうか、玄関を開ける音がして、両親が帰ってきました。

私は一目散に布団から飛び出し、さっきまで男の人が立っていた場所を見ないようにして、

明かりのついている玄関に走りました。

そして両親に、先ほど起きた事を話すと、笑いとばすどころか、見る見る顔が青ざめていきました。

今思えば、両親も私と同じ経験をしていたのかもしれません。

「人形といえば・・・」と母が、寝室の奥から古い木箱を持ってきて、私に見せてくれました。

箱の中には古い日本人形が入っており、母が自分の祖母から頂いたものだったそうです。

そんな人形があることも知らなかった私は、さっきの男の人の言葉を思い出し、また怖ろしくなりました。

しかし、祖母が亡くなる間際に、母に「この人形が、家族を守ってくれる」という話しをしてくれたと聞いて、

恐怖感も消え、落ち着くことが出来ました。

弟も大事に至らずに済んだという話も、その場で聞きました。

人形が私たち家族を守ってくれたのでしょうか?

その夜私は、母からその人形を借り、枕元に置いて眠りました。

612 :6:2005/08/22(月) 19:21:26 ID:uu4132wM0

高校を卒業して家を出た私は、それ以降不思議な事は起きていませんが、

知り合った霊感のあるという知人に、「貴方の家には守り人形がいる」と言われたことがあります。

両親や弟妹には、その後も色々と災難や事故等があったのですが、すべて大事には至らなかったです。

今現在は、その土地に実家はありません。

時折、田舎に戻ると、実家のあった前を通ることがあります。

そんな時、あの日の出来事がはっきりと思い出されるのです。

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